第二次世界大戦以前、大分県と愛媛県に挟まれた豊後水道(ぶんごすいどう)には豊予要塞(ほうよようさい)として、砲台などが次々と建設されました。大分県佐伯市側の鶴見半島先端に位置する鶴御崎(つるみさき)もそのひとつ。丹賀砲台は、昭和6年に建設されたもので、戦争遺跡「丹賀ミュージアムパーク」として整備されています。
豊後水道の豊予海峡を守備した要塞
女郎崎(じょろうざき)突端近くに築かれた丹賀砲台。
旧海軍の巡洋艦「伊吹」に搭載されていた後部主砲、45口径30cmのカノン砲が装備されましたが、試射が行なわれた際に実弾が内部で誤爆。
16名もの死亡者を出したため、一度も実戦で使われることなく封印されています。
入口にはその犠牲者を悼む「忠魂之碑」と、当時の実弾が展示されています。
一帯は戦争遺跡「丹賀ミュージアムパーク」として整備され、海岸沿いの入口からは170段の急階段に並行し、斜坑リフトも開通。
写真やパネルの展示解説がある通路(地下道)を通り、巨大な砲塔井(直径10m、深さ12.8mの円筒形)の上部を、ガラスのドーム天井で囲んだ「記念ドーム」に至る仕組み。
砲塔内部の壁面には爆発の傷跡が残り、弾薬庫跡や冷却水槽なども見学できます。
周辺にはハマカンゾウ群生地もあり、さらにその先の女郎崎展望台へも遊歩道が整備されています。
展望台からは、大島や鶴御崎、対岸の四国が一望のもと。
ちなみに、豊予要塞は、豊予海峡の防備のため設置された大日本帝国陸軍の要塞で、大正10年に起工。
丹賀砲台は、昭和6年に始まった第二期工事で建設され、太平洋戦争直前の昭和16年11月に警急戦備が下令され、巡洋艦「伊吹」のカノン砲を転用設置されました。
誤爆事故で砲塔全体が吹き飛んだため、代替の砲台として鶴見崎砲台が築かれています。
対岸の四国(愛媛県伊方町)には佐田岬砲台が設置されています。
この豊予海峡は豊後水道の中で水路が最も狭い部分で、海防ではもっとも重要視された場所だったのです。
平和な現代では「関あじ」、「関さば」の揚がる海としても有名ですが、戦前は緊張の海峡だったという歴史を秘めているのです。
丹賀砲台園地(丹賀ミュージアムパーク) | |
名称 | 丹賀砲台園地(丹賀ミュージアムパーク)/たんがほうだいえんち(たんがみゅーじあむぱーく) |
所在地 | 大分県佐伯市鶴見丹賀浦577 |
関連HP | 佐伯市観光協会公式ホームページ |
ドライブで | 東九州自動車道佐伯ICから約26km |
駐車場 | 斜坑口前駐車場(30台/無料) |
問い合わせ | 丹賀砲台園地(丹賀ミュージアムパーク) TEL:0972-34-8222 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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