2024年11月27日(水)、 弘南鉄道の維持と活性化を話し合う弘前圏域8市町村長の協議会が開催され、弘南鉄道側は「大鰐線の運行継続は難しいということで、休止という形で進めていきたい」と述べ、2027年度末で休止の意向を表明。実質的な「廃止の発表」となっています。
もともとは三菱電機の支援で敷設された鉄道
弘南鉄道は、青森県弘前市を中心に弘南線(弘前駅〜黒石駅、16.8km)、大鰐線(おおわにせん/大鰐駅〜中央弘前駅、13.9km)の2つの鉄道路線を運営する私鉄。
弘南線は田んぼ鉄道、大鰐線はりんご畑鉄道の愛称が付けられていますが、弘前駅と中央弘前駅は離れていて、連絡していません。
大鰐線は、昭和27年1月26日、弘前電気鉄道として開業、昭和45年10月1日に弘南鉄道に譲渡された線。
もともと弘前電気鉄道は昭和24年7月に、当時の岩淵勉市長の肝いりで設立された鉄道会社で、開通当初からバス路線との競合もあって赤字が続いていました。
鉄道敷設の背景には、弘前市は戦前第8師団の衛戍(えいじゅ)地で、「軍都」として栄えましたが、戦後、戦災を受けた青森市から青森師範学校(弘前大学教育学部)、青森医学専門学校(同医学部)などが弘前市に移転。
岩淵勉市長は、文化都市の建設を目指しますが、交通事情が非常に悪く(冬季は雪でバスが運休することも多発)、戦後復興のための輸送改善が求められたことがあったのです。
地元、弘前市出身で三菱電機・高杉晋一社長に働きかけ、三菱電機の経営参加を受け、敷設の工事から信号、車両に至るまでを三菱電機が担っています。
三菱電機は将来、東北での鉄道事業、部品の調達などの問題点を精査するため、弘前電気鉄道の工事、経営に参画したのです。
道路の整備や自動車の普及が進んだこともあって、三菱電機は経営から手を引くことを決断、弘南鉄道に身売りとなったもの。
こうした経緯もあって弘前駅、中央弘前駅という離れた起点駅が生まれたのです。
青森県で戦後開通した私鉄は、すでに廃線となった南部縦貫鉄道(七戸駅〜野辺地駅)と弘南鉄道大鰐線の2線だけ。
大鰐線がもし廃止されると、戦後生まれの鉄道は全廃ということになります。
弘南鉄道大鰐線、2027年度末に運行休止!? | |
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