毎年11月6日〜3月20日の間、北陸・山陰のズワイガニが解禁となりますが、カニの水揚げ量が日本一を自称し、その消費量も日本一の県が、「蟹取県」をPRする鳥取県です。とはいえ、実はカニの漁獲高だけを比べると、都道府県別だと北海道が日本一。なぜ鳥取県は「日本一」を宣言するのでしょうか?
岩美町の中学校では、給食に1人1枚の若松葉がにが登場
鳥取県境港市にある境漁港はベニズワイガニ、ズワイガニ(雄が松葉ガニ、雌は親ガニ)などを合わせたカニの水揚げ量が国内でダントツ。
農林水産省の2022年水産物流調査によると境漁港の水揚げ量は5181tで、2位の香住漁港(兵庫県)を3400t以上引き離しているのです。
鳥取県が「カニの水揚げ量が日本一」というのは主要漁港別の水揚げ量。
農林水産省が調査するカニの水揚げ量には「都道府県別」と「主要漁港別」があり、鳥取県境港が1位で、2位の北海道と比べると2倍の水揚げ量を誇っているのです。
カニの消費量も県別で鳥取県がトップというだけでなく、県庁所在地別でも福井市や金沢市を圧倒して量も金額も鳥取市がトップとなっています。
「令和5年の総務省統計局家計調査において、鳥取市はカニの消費量が全国平均消費量の5.7倍です」と鳥取県関係者は胸を張りますが、鳥取県の最東端の岩美郡岩美町の中学校では、給食に1人1枚の若松葉がにが登場するほどです(鳥取県ではズワイガニは「杯」ではなく「枚」で数えるのが一般的)。
鳥取県は「5つのカニ日本一」を宣言
鳥取県は、水揚げ、消費量に加えて、カニの牧場面積日本一、新鮮活ガニ出荷日本一、カニにかける想い日本一で、「5つのカニ日本一」を宣言しています。
「カニの牧場面積日本一」は、カニが生息する日本海の沖合にコンクリートブロックを沈めて、カニが産卵しやすい環境を作る取り組みで、1万1320ha、東京ドーム2340個分という広大なカニ牧場を有しているのです。
「活ガニ」とは活きた状態で流通するカニで、流通の過程で死んでしまったカニは「生カニ」と区分されますが、設備が整う漁港と、仲買や小売業者の尽力で活の状態で消費者に届くようになっているのです。
そうした努力のトータルが「カニにかける想い日本一」で、カニの獲れる間は、鳥取県から「蟹取県」に改称(漁期以外には名乗りません)、「蟹取県ウェルカニキャンペーン」を展開しているのです。
2024年は11月6日(水)の解禁と同時に海が時化(しけ)ることもなくカニ漁が行なわれ、翌11月7日(木)には鳥取県内3ヶ所の漁港(網代漁港、境漁港、賀露港)で初競りが行なわれ、賀露港では最高落札額となる150万円で競り落とされています。
鳥取県漁協賀露支所の初競り式では、鳥取県・亀井一賀副知事が「待ちに待った松葉がにの時期がやってきました。鳥取県はカニの水揚げ量が日本一で、全国の3分の1以上が鳥取県で水揚げされている『蟹取県』でもあります。カニに対する熱意も日本一であり、今後もカニの一大産地、鳥取県を盛り上げていきたい」とあいさつ、今年も本格的なカニシーズンに突入しています。
カニの水揚げ量が日本一の県は、消費量も日本一! それが「蟹取県」 | |
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