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旧山崎家別邸

旧山崎家別邸

埼玉県川越市、天明3年(1783年)創業という川越の老舗菓子屋「亀屋」の5代目・山崎嘉七が隠居所として建てた別邸が、旧山崎家別邸。建物は国の重要文化財、庭園は国の名勝に指定されています。隠居所といいながら、豪商・山崎家なので、まさに迎賓館的な存在になっていました。

八十五銀行本店を設計した保岡勝也が建てた洋館

川越市川越伝統的建造物群保存地区の東側に道路を隔てて隣接する地にあり、蔵造りの町並み(川越一番街商店街)では、亀屋本店も営業しています(明治27年に5代目・山崎嘉七が建てた店蔵が現存)。

山崎家の初代は信州中野(信濃国高井郡下笠原村)の出身で、上菓子製造業・亀屋清右衛門のもとで修行し、天明3年(1783年)に独立。
川越藩の御用商人となり、明治11年12月17日に川越の豪商たちが集まって設立した第八十五国立銀行の発起人にも、4代目・山崎嘉七(山崎豊)が名を連ねています。

5代目の山崎嘉七は、明治16年、弱冠14歳で店を任され(4代目は文明開化で川越の発展に尽力していました)、24歳のときに川越大火に遭遇し、店の再建に乗り出しています。

明治26年の川越大火にもめげず、翌年、防火建築の店蔵を再建し(現在の亀屋本店の建物)、明治31年にはさつま芋の新品種「紅赤」を使った芋煎餅「初雁焼」を考案。
さらに「初雁城」、「初雁糖」、「初雁霰」を開発し、進取の気性から洋菓子の製造販売を開始しています。
現在の「三つ亀甲」を商標登録し、昭和2年に6代目に譲っています。
そしてその隠居所として建てたのが重要文化財に指定される旧山崎家別邸。

設計は三菱の丸の内赤レンガ街の設計を担った保岡勝也(やすおかかつや)。
大正7年に竣工した、八十五銀行本店本館(旧八十五銀行本店本館として現存)も保岡勝也の設計ですが、八十五銀行の前身となる第八十五国立銀行(明治11年開業)の設立にも4代目の山崎嘉七(山崎豊)が関わり、さらに5代目・山崎嘉七は第八十五銀行の副頭取を務めていたので、その流れで保岡勝也に依頼したと推測できます(川越には保岡勝也設計した建物が旧山吉デパートなど4棟も現存)。

母屋は、木造モルタル仕上げ洋風屋根葺きの洋館で和室棟も併設。
母屋だけでなく、茶室も保岡勝也が設計しています。
保岡勝也は、「茶室と茶庭」を出版するほど和風庭園に造詣が深く、庭園も保岡勝也の作庭です。

近隣で開かれた陸軍大演習などの際に皇族関係者が宿泊することもあり、庭には大韓帝国最後の皇太子(明治43年、日韓併合)・李王垠(りおうぎん/昭和4年に川越訪問)手植えの松も残されています。

旧山崎家別邸
名称 旧山崎家別邸/きゅうやまざきけべってい
所在地 埼玉県川越市松江町2-7-8
関連HP 川越市公式ホームページ
電車・バスで 西武新宿線本川越駅から徒歩15分
ドライブで 関越自動車道川越ICから約6kmで市内観光用駐車場
駐車場 市内観光用駐車場(157台/無料)、川越駅東口公共駐車場(286台/有料)、土・日曜、祝日のみ市庁舎南側駐車場(120台/有料)、市庁舎北側駐車場(90台/有料)を利用可能
問い合わせ 川越市観光課 TEL:049-224-5940
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

亀屋本店(山崎家住宅)

埼玉県川越市、川越市川越伝統的建造物群保存地区に選定される蔵造りの町並み(川越一番街商店街)にある商家で、老舗の和菓子店が、亀屋本店(山崎家住宅)。浅間山が噴火した天明3年(1783年)の創業(初代は信州中野の出身)で、現存する店蔵は、明治

旧八十五銀行本店本館

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時の鐘

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大沢家住宅

埼玉県川越市にある現存する川越最古の蔵造り建築が大沢家住宅。呉服太物を商っていた近江屋半右衛門が寛政4年(1792年)に建てた蔵造りの店舗。明治26年の川越の大火でも焼失から免れ、国の重要文化財に指定されています。平成元年から4年間にわたっ

 

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