羅臼港を起点に根室海峡のホエールウォッチングの船が出ています。8月〜9月なら8割〜9割くらいの確立でマッコウクジラに遭遇できるといわれています。
では、観光船はどうやってクジラを探しているのでしょう?
TOPの画像はアルラン3世号で視力3.0という菅谷さんがマッコウクジラを探しているところです。
まずは目で探す!
本職は漁師という菅谷さんに、マッコウクジラをどんな風に探しているのかを聞いてみました。
「基本は、マッコウクジラの噴気を探すんです。一ヶ所を見つめるのではなくて、広い海を見渡すように探します。何か白いものが見えたなと感じたらそこをじっくり探すんです」
そんなことで見つかるのかと思いきや、十数回は菅谷さんに同船しましたが、菅谷さんより先に見つけたことは1回限り。それも運まかせ。
「慣れないと無理だけど、結構お客さんが見つけることもありますよ」
とのこと。
さすがに白波が立つときは遠くの噴気は分かりづらいので、どうしても遭遇率が低くなるのだとか。
羅臼は「魚の城下町」というほど漁業が盛ん。出漁中の漁船から「ルサ沖でおおきなオスのマッコウを見たぞ」なんて連絡が来るのです。 そんな漁師仲間からの無線連絡も、「マッコウが下に向かっているのか、上に向かっているのか、あるいは沖に向かっているのか、判断する材料になるんです」(菅谷さん)とのこと。
陸からの連絡で出没地点を予想する
近年、グンと遭遇率が上がったのは、陸からの支援。マッコウクジラが出没時季にあたる8月中旬〜9月頃には長崎大学の研究チームが、羅臼灯台横の「クジラの見える丘公園」に陣取って、マッコウクジラの噴気を探しています。
日の出から日没まで、数人のスタッフで目をこらして海上を眺め、望遠鏡を駆使して、マッコウクジラの潜った地点の位置情報と時間を記録しています。
(陸からクジラの潮吹きがわかる!「クジラの見える丘」)
マッコウクジラもほ乳類ですから、1時間ほど潜れば呼吸をするために洋上に姿を見せます。つまり移動をしていなければ、「潜った場所で待っていればだいたい1マイル(1.6km)以内に姿を見せるはずなんです」。
下手に動き回るより、「待てば海路の日和あり」作戦の方が確実というわけです。
ところが、シーズンになると、どうしても何頭かのマッコウが海峡に入ってきます。
「何マイルか先で噴気が上がっているのを発見」としても、発見したときが浮上したばかりなのか、はたまたそろそろ潜って餌を探す時間なのかがわからないと、全速力で噴気に向かっても、遠くに尾びれが見えるだけというケースもあるわけで・・。
そのあたりが経験と船長の判断。このへんの駆け引きもなかなか面白いのです。
そして水中マイクでクジラのクリック音を確認
ホエールウォッチングの船は、待ちの時間などを利用して、スクリューを停めた際には、水中マイクを海中に下ろして、マッコウクジラが近くにいるのか、マッコウクジラのクリック音(音波)を探知して近くにいるのか、遠くにいるのか、近づいているのか、遠のいているのかを判断します。
真下にいなければ待っても無駄というわけです。
世界遺産に登録された知床の海域にマッコウクジラがやって来るのは、世界遺産に登録された最大の理由である、流氷がもたらすゆたかな海洋資源があるから。
つまり、根室海峡でホエールウォッチングを楽しむことは、イコール、世界自然遺産を知ることにも繋がるのです。
最新情報をお届けします
Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!
Follow @tabi_mag