日本の最北端は、(北方領土を除けば)教科書的には宗谷岬ってことになっています。しかし、実際の最北端は、宗谷岬ではありません。古くは、北方交易の要衝として栄えた珊内(北海道稚内市宗谷村珊内=宗谷岬西側の海岸)の沖に浮かぶ、弁天島。地図をご覧頂いてもおわかりの通り、北方領土を除いて、日本の最北端は弁天島です。
宗谷岬牧場から最北端の弁天島を眺めよう
国土地理院によれば、日本の最北端は北方領土の択捉島(えとろふとう)で北緯148°45′30″、東経45°33′19″。
残念ながら知床岬の先端から快晴でも、国後島の爺々岳(ちゃちゃだけ)を眺めるのがせいいっぱいで、択捉島は視認できません。
そんな北方領土を除く日本最北端は、一般的には宗谷岬と思われていますが、実際は宗谷岬の沖合、岩礁地帯にある弁天島です。
宗谷とはアイヌ語で、so-ya(磯岩の・岸)、つまりは岩礁の海岸という意味。
宗谷岬周辺の海岸は、遠浅の岩礁が続いているのです。
以前、宗谷岬の駐在所(日本最北の駐在所)の警察官に、
「自殺願望の人も結構来ますが、実は岩礁が沖まで続いて、遠浅なんです。で、入水しても首までつかるまでに寒さでブルブル。結局、助けてくれーってことになるんです」
なんて話を聞いたことがあります。
珊内沖に位置する弁天島は、天然の防波堤の役割をはたして、江戸時代(18世紀半ば以降)には珊内の湊(現在の珊内漁港)に弁財舟(大型木造帆船)が停泊したこともあったといいます。
そして航海、交易を見守る島に弁財天が祀られたことが島名の由来で、宗谷岬の歴史をも反映しています。
探検家・間宮林蔵(1780~1844)は宗谷岬から樺太へと渡っています。
今では宗谷岬の突端、「日本最北端の地碑」の並びにちゃっかりと像が立てられていますが、実は、間宮林蔵が樺太へと旅立ったのも珊内から。
つまり、弁天島の存在で、珊内は、江戸時代には交易や北方探検の基地となっていたのです。
そんな弁天島ですが、かつては宗谷岬の民宿が弁天島探検ツアーを行なっていましたが、その民宿も今では弁天島探検を行なっておらず、まさに秘島となっているのです。
宗谷岬先端の日本最北端の地の碑から眺めると見落としやすいので、高台の宗谷岬灯台、宗谷岬牧場などから確認するのがおすすめです。
宗谷牛とのツーショット写真をぜひ1枚、記念に。
まだまだあるぞ、ユニークな最北端!
最北端のガソリンスタンド
名称:最北端給油証明書がもらえる安田石油店(出光興産宗谷岬給油所/apollostation宗谷岬SS)
所在地:北海道稚内市宗谷岬3-7
最北端のマクドナルド
内容:最北端記念碑とドナルドベンチがあり記念撮影スポットとして大人気の40号稚内店
所在地:北海道稚内市潮見3-5-17
日本最北端は宗谷岬ではなく、弁天島! | |
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