東京都八丈町大賀郷、八丈島の西側、八重根港近くにあるのが、八重根のメットウ井戸。水に悩まされた伊豆諸島や武蔵野台地に築かれた、「まいまいず井戸」(まいまい=カタツムリ)のひとつで、すり鉢状に掘った底に井戸を築き、螺旋状になった道で水汲みに降りるという井戸です。
現存する伊豆諸島最大の「まいまいず井戸」
西山(八丈富士)溶岩流の末端に位置し、溶岩流を掘り下げて、その基部を流れる伏流水を井戸水にするもの。
すり鉢の上部は直径20m、下部は直径6m~8mで、深さは8mほど。
すり鉢の底は、土砂の流入で埋没して確認できませんが、5mほど円筒状に掘り込まれていると推測されています。
石碑の銘文から、明治13年頃に開削されたことが判明し、飲料だけでなく、港に近いことから船舶に積み込む水、そして畜産、養蚕、酒造などの産業用水としても利用されていました。
昭和30年に簡易水道が完成し、お役目御免に。
「メットウ」とは、八丈の方言で「ギンタカハマ」というサザエの仲間の食用貝のことで、その形状が井戸の螺旋型に似ているのが名の由来。
出土した石碑2基とともに、東京都の史跡に指定されています。
八丈島は神津島と同様に水には恵まれていましたが、船に積み込む水など、海岸部にある井戸は貴重でした。
同じ伊豆諸島では、新島の原町の井戸が、正徳5年(1715年)完成。
式根島のまいまいず井戸が、明治26年完成ですが、規模としては、八重根のメットウ井戸が最大。
武蔵野台地では、青梅新町の大井戸(東京都青梅市)、渕上の石積井戸(あきる野市)、五ノ神まいまいず井戸(羽村市)、埼玉県狭山市に歌枕「ほりかねの井」候補になる七曲井、堀兼の井が現存、府中市郷土の森博物館(東京都府中市)に武蔵国府エリアにあったまいまいず井戸が移築保存されています。
八重根のメットウ井戸 | |
名称 | 八重根のメットウ井戸/やえねのめっとういど |
所在地 | 東京都八丈町大賀郷 |
関連HP | 八丈町公式ホームページ |
電車・バスで | 八重根港から徒歩5分、八丈島空港からタクシーで5分 |
ドライブで | 八重根港から約300m |
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