東京都葛飾区柴又4丁目、京成金町線柴又駅の駅前広場にあるのが、フーテンの寅像と見送るさくら像(制作・吉田穂積)。 松竹映画『男はつらいよ』シリーズの舞台、柴又帝釈天へと続く柴又帝釈天参道商店街の玄関駅で、寅さん(渥美清)を見送る形のさくら(倍賞千恵子)の像が立っています。
ファンの期待に応え、寅さんとさくらの像がセットに
映画『男はつらいよ』(渥美清主演、山田洋次原作・監督)の第1作が公開されたのは、昭和44年8月27日で、初代のマドンナ役は光本幸子。
平成7年12月23日の『男はつらいよ 寅次郎紅の花』まで渥美清主演で、全48作が制作されています。
映画『男はつらいよ』シリーズのヒットで、葛飾柴又は一躍全国区の観光スポットに。
映画シリーズのヒットを受けて、 平成11年7月29日、柴又帝釈天参道商店街と観光客の募金などで、フーテンの寅像が建立、序幕されました(台座には、山田洋次監督による寅さんの故郷への思いが刻まれています)。
見送るさくら像は、渥美清没後の平成29年3月25日に、山田洋次監督、倍賞千恵子を迎えて除幕。
「振り返る寅さんの視線の先に見送るさくらさんがいてほしい」という多くのファンの声に応えたものです。
「さくらの像ができたのは、本当に僕にとってもうれしいこと。寅さんの彫刻ができたときから、さくらにいてほしいなと思い続けていた。これができたことで、二人で一つの対になった」と、山田洋次監督も語っていますが、さくら像の台座には山田洋次監督の『ある別れ』というタイトルの短い脚本が刻まれています。
木枯らしが吹く中、失恋したフーテンの寅が柴又駅から旅立とうとする際に、さくらが見送る物語。寂しさと憂いを秘め、柴又の商店街の方向を見詰めるフーテンの寅と、その視線の先に立つさくらですが、シーンの背景となるシナリオを描くことで、彫刻家・吉田穂積(フーテンの寅像の制作者)がさくら像を追加で制作する際にイメージが湧きやすいようにと書き起こした作品です。
このシナリオを読むことで、2つの像の世界観がより鮮明に伝わってくることでしょう。
『ある別れ』 山田洋次
さくらは失恋して旅に出る寅を駅まで見送ることにする
「いいんだよ、忙しいんだろお前」と言いながらもその思いやりがみにしみるほど寅は傷ついていた
駅前でさくらは立ち止まる
「それじゃお兄ちゃん身体に気をつけてね」
「あゝ」と無造作にうなずいて駅舎に向かう寅の足がふと止まりふり帰る
「おい」「なあに」
「満男に一生懸命勉強しろと言っとけよ」
「うん、わかった」
乱暴な口調で言いすててスタスタと改札口にむかう寅さくらは踵を返し
秋の終わりを思わせる冷たい風が吹く中を家路につく
フーテンの寅像と見送るさくら像 | |
名称 | フーテンの寅像と見送るさくら像/ふーてんのとらぞうとみおくるさくらぞう |
所在地 | 東京都葛飾区柴又4-8-14 |
関連HP | 葛飾区観光協会公式ホームページ |
電車・バスで | 京成電鉄柴又駅からすぐ |
駐車場 | 周辺の有料駐車場を利用 |
問い合わせ | 葛飾区観光協会 TEL:03-3650-9876/FAX:03-5693-1658 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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