柴又帝釈天

柴又帝釈天

東京都葛飾区柴又7丁目にある日蓮宗の寺が、柴又帝釈天(しばまたたいしゃくてん)。寛永6年(1629年)の創建で、正式名は経栄山題経寺(きょうえいざんだいきょうじ)。宗祖・日蓮自らが彫ったという帝釈天を祀っていることから、「柴又帝釈天」の名で親しまれています。

江戸時代から名高い疫病除の「一粒符」を授与

帝釈天は、鬼子母神、弁才天、吉祥天、大黒天などとともに仏教の守護神(護法神)である天部のひとつ。
帝釈天信仰が急速に広まったのは、江戸時代中期、天明の大飢饉(てんめいのだいききん/1782年〜1788年)から。
当時の住職が板本尊を背負い、江戸はもちろん、下総の人々の救援活動を行なったことから、病難や火難の守護神として庶民の間で信仰されるようになったのです。

この板本尊は一時不明となっていましたが、安永8年(1779年)、庚申(かのえさる)の日に再び姿を現したとされることから、庚申の日が縁日に。
寝ずに無病息災、不老長寿を願う当時の「庚申講」や「庚申待ち」などと結びつき、「宵庚申」の参詣が一種のブームとなり広がったのです(提灯の行列が延々と続いたと伝えられています)。
柴又帝釈天の本堂で一夜を明かし、一番開帳を受け、庭先に溢れ出る御神水を戴いて家路についたのです。

参道(現在の柴又帝釈天参道商店街)の発展もこの縁日がルーツ。
今でも2ヶ月に一度(年に6回ほど)、庚申の縁日が行なわれ、帝釈天板本尊がご開帳されています。

映画『男はつらいよ』シリーズでは笠智衆(りゅうちしゅう=実家は現・熊本県玉名市の来照寺)が柴又帝釈天の住職・日奏上人、佐藤蛾次郎(さとうがじろう)演じる源吉が寺男として働いているので、しばしばロケにも使われています。

境内には七堂伽藍が配され、入母屋造りの帝釈堂の内陣外壁には、『法華経』(ほっけきょう)の説話を彫り込んだ素晴らしい板絵彫刻(昭和9年完成)があることから、別名「彫刻寺」とも。
本堂裏手には幽玄な回廊式庭園「邃渓園」(すいけいえん)も配されています。
邃渓園、彫刻ギャラリーのみ拝観料が必要。

授与品のうち、「除疫守」は、風封じと呼ばれる伝統のお守りで、毎年10月1日〜12月20日に受付、元旦〜1月7日まで祈祷され、1月15日〜3月に授与。
天明年間に疫病が流行った際に、それを退けたという「一粒符」(いちりゅうふ)も授与されますが、庚申の日に特別祈願を申し出た人には、帝釈天御符(非売品)が授与されています。

柴又帝釈天の東側には江戸川が流れ、昔ながらの渡船、矢切の渡しが運航されています。

柴又帝釈天
名称 柴又帝釈天/しばまたたいしゃくてん
所在地 東京都葛飾区柴又7-10-3
関連HP 柴又帝釈天公式ホームページ
電車・バスで 京成柴又駅から徒歩5分
ドライブで 首都高速四つ木ランプから約6.7km
駐車場 帝釈天駐車場(40台/有料)
問い合わせ 柴又帝釈天 TEL:03-3657-2886
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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