日本屈指の深海である富山湾で揚がる「富山ブランド」の魚。ブリの聖地・氷見を筆頭に、新湊、黒部と富山湾沿いに美味しい魚が水揚げされる漁港がズラリ。富山を取材すると必ず出てくるキーワードが「富山湾」「伏流水」そして「海洋深層水」。富山の魚の美味しさの秘密を知ってから、美味しい寿司でも食べに行きましょう。
秘密1 プランクトンが豊富
富山湾は「天然の生簀」といわれる魚介の宝庫
「富山湾は、暖流である対馬海流と年間を通じて水温1~2度という冷たくミネラル豊富な海洋深層水が層をなしています。上部に対馬海流、底部に海洋深層水という構造です。そこには魚の餌となるプランクトンが豊富に存在するので、富山湾はおいしい魚が育つ巨大な生け簀(プール)のようになっているのです」
⇒富山湾は、太平洋側の駿河湾、 相模湾と並ぶ日本を代表する深い湾。
富山湾の表層には、日本海を北上する暖かい対馬海流の一部が能登半島に沿って流れ込み、この流れに沿って暖流系の生物が入ってきます。
水深300m以上の深い場所の日本海固有水(深層水)には冷水系の魚が生息。
こうしたメカニズムで、魚種が豊富。
日本海に分布する800種のうち500種の魚が泳ぐ、水産資源の宝庫となっています。
秘密2 伏流水が酸素と栄養を補給
ダイナミックな水循環を富山で体感!
「富山湾には、小矢部川、庄川、神通川、常願寺川、白岩川、上市川、黒部川などの河川と北アルプス・立山連峰からの伏流水が注ぎ込みます。この水で新鮮な酸素と立山連峰などの森が育む栄養素が補給され、魚たちの生活環境が快適そのものなんです」
⇒立山黒部ジオパークのキャッチフレーズが「高低差4000mロマン」。
38億年の歴史(大陸が分裂・接合を繰り返していた時代→大陸の縁で恐竜が大地を歩いていた時代→日本海が作られた時代→北アルプスが誕生する時代)が築いたというダイナミックな富山県の地形は、た3000m級の北アルプスから、水深1000mと富山湾の海底まで、高低差はなんと4000m。
大陸からの冷たい季節風は日本海で水分を供給されることにより、立山連峰が世界有数の豪雪地帯となり、雪解け水の一部は伏流水となり、扇状地の末端で湧き出します。
海底からの湧水は魚介を育む栄養塩を富山湾に供給しているのです。
秘密3 海底の谷が魚の住まいに
「藍瓶」(あいがめ)と呼ばれる16もの海底谷ベニズワイガニなどの住処に!
「富山湾は大陸棚が狭く、1000mを超える海底の谷が何本もあって海岸近くまで迫っています。藍瓶(あいがめ)と呼ばれる16もの海底の峡谷があって、深海に生息するシロエビやベニズワイガニなどの魚介にとって絶好の住まいになっているのです」
⇒富山湾の奥深く、海岸近くまで海底谷が迫った海域は、周囲に比べて海の青さが一段と濃く見えるため藍瓶と呼ばれる!
秘密4 日本海の魚なので身が締まっている
料理屋で実感する身の締まりと脂ののり、加えて昆布〆の文化も
「日本海の複雑な潮流や荒波を乗り越えてやってきた富山湾の魚。身が引き締まり、ほどよく脂がのっています。しかもそれを昆布で〆るという文化もあり、多彩な味を堪能できます」
⇒今やブランドとなった「富山湾鮨」と海鮮料理。
料理人が声を揃えるのが身の締り具合。
その筆頭はブリで、身はキリっと締まっているうえ、しっかりと脂がのっているのです。
昆布〆の歴史は、北前船で北海道から昆布が運ばれたことに由来。
富山に来たのなら、ぜひ味わってほしいのが、この昆布〆です。
秘密5 漁場が近いので新鮮な魚が水揚げされる
大人気の「富山湾鮨」には地魚がズラリ
「富山湾における漁業は、定置網漁業が主流で定置網発祥の地ともいわれています。定置網は、漁港から20分以内の場所がほとんどで漁場が近いことから新鮮な魚がすぐに味わえます。富山県内ではスーパーの魚売り場に、『朝獲れ』のラベルを貼った魚が並んでいます」
⇒湾内産という鮮度は、誰もが認めるところ。
人気の「富山湾鮨」でも地魚が並びます。
定評のある「ひみ寒ぶり」は、漁船の上で氷水に入れる「沖締め」という技法で鮮度を保っています。
取材協力/うまさ一番富山のさかなキャンペーン事務局
画像協力/(公社)とやま観光推進機構
名称 | 富山の魚はなぜ美味しい? 5つの秘密を紹介 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |