【地図を旅する】vol.36 西武線とJR線を直結! 武蔵野線・秋津支線

秋津支線

首都圏の大手私鉄では、JRや東京メトロ、都営地下鉄との相互乗り入れが盛んで、利用者の利便性向上に役立っています。西武鉄道は、JR東日本への直通乗り入れはありませんが、それはあくまで営業運転でのこと。実は武蔵野線・秋津支線(東京都東村山市)が、西武池袋線とJR武蔵野線を直結しているのです。

JR武蔵野線の支線ながら、西武の車両しか走らない!

西武池袋線の脇にもう1本線路が!

武蔵野線の秋津支線は、JR武蔵野線・新秋津駅で分岐し、JR・西武鉄道分界点を経て西武池袋線の横を走り、所沢駅とを結ぶ連絡線。
JR部分が1.6km、西武鉄道が1.6kmで、合計3.2kmありますが、旅客列車の運用がないため営業キロは設定されていません。
しかも、この連絡線、JR武蔵野線の支線ですが、西武鉄道の車両しか走らないのです。

西武鉄道はかつて秩父で産する石灰石、セメント輸送、入間航空基地へジェット燃料など、貨物列車を走らせていました。
当初は池袋駅、国分寺駅で連絡線を用いて国鉄に乗り入れていましたが、旅客輸送の増大で、武蔵野線が貨物線として敷設され、昭和48年4月1日、府中本町駅〜新松戸駅間が開業していますが、同時に秋津支線も利用が開始されたのです。
新秋津駅まで西武鉄道の機関車で貨物を運び、新秋津駅で国鉄の機関車に付け替え、目的地を目指していました。

西武鉄道の貨物輸送は平成8年に全廃となりましたが、その後も秋津支線は重要な役目を負って存続。
なぜなら、西武鉄道の各線に新型車両を運び入れることに使われる線路だから。
鉄道用語で「甲種輸送」と呼ばれ、機関車の牽引で西武鉄道の車両が運ばれます。
JR貨物の機関車に牽引され、貨物列車扱いで新秋津駅に入線、ここで西武鉄道の機関車に付け替えられ、所沢駅へと向かうのです(現在、西武鉄道には機関車がないので、電車による牽引が行なわれています)。

西武鉄道の車両が改造を施す際にも、この連絡線を使って車両メーカーへと運ばれています。
さらに西武多摩川線もほかの西武線とは連絡のない独立した路線なので、車両の検査時などの移動も、このJR線と秋津支線を使って池袋線と連絡させています。

そんな秋津支線ですが令和7年10月、JR東日本は秋津支線を活用した直通運転の検討を進める方針を発表。
「臨時列車での運行を検討」するとしていて、実現は令和10年頃になる見込みです。

【地図を旅する】vol.36 西武線とJR線を直結! 武蔵野線・秋津支線
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ラジオ・テレビレジャー記者会会員/旅ソムリエ。 旅の手帖編集部を経て、まっぷるマガジン地域版の立ち上げ、編集。昭文社ガイドブックのシリーズ企画立案、編集を行なう。その後、ソフトバンクでウエブと連動の旅行雑誌等を制作、出版。愛知万博公式ガイドブックを制作。以降、旅のウエブ、宿泊サイトにコンテンツ提供、カーナビ、ポータルサイトなどマルチメディアの編集に移行。

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