長崎県・対馬に絶滅したはずのカワウソが生息!?

対馬(長崎県対馬市)といえばツシマヤマネコが有名ですが、実は2025年5月19日(月)、高知大の研究グループが、長崎県対馬市で野生のカワウソが生息している可能性を示す痕跡を確認したと発表しています。カワウソはかつて日本全国に広く分布していましたが、絶滅したといわれています。

対馬でカワウソが繁殖している可能性が浮上!

ユーラシアカワウソ(イメージ画像)

ニホンカワウソは、四国の高知県と愛媛県でわずかな生息が確認されていましたが、1974年7月25日に高知県須崎市の上分公民館そばの新荘川で目撃されたのを最後に、生息の確かな証拠は得られていません。
1986年10月に新荘川でニホンカワウソの死体が発見、環境省は2012年にニホンカワウソを絶滅種に指定しています。

カワウソは食肉目イタチ科、カワウソ亜科に属し、アジア、ユーラシア、アフリカ、南北及び中央アメリカに12種が生息し、日本に生息していたのはニホンカワウソです。
明治時代初期には東京にも生息していましたが、生活環境の悪化、さらには乱獲(大正年間には年に1000頭以上の捕獲)で絶滅へと追いやられたのです。

対馬では2017年2月、琉球大学が設置したセンサーカメラに、カワウソとみられる動物が写し込まれ、その後、環境省の緊急調査で、採取された糞からユーラシアカワウソのDNAが検出。
対馬による野生カワウソの生息が明らかになったのです。
さらなる調査で、少なくとも4個体(オス2、メス2)の存在が推定され、糞の科学的な解析で、韓国南東部から海を渡っての移入であることが推測されたのです。

移入とはいえ、国内で38年ぶりに記録された野生カワウソの存在で、大きな話題を呼びましたが、以降は生息の確認がとれていませんでした。

日本各地でカワウソの痕跡調査を精力的に行なっている高知市の会社員・山本大輝さんは、2024年2月にカワウソとみられる動物糞を対馬で発見。
これを高知大学自然科学系理工学部門の宇田幸司准教授の研究室で科学的に解析したところ、韓国南東部のユーラシアカワウソと一致することが判明したのです。

韓国のユーラシアカワウソ個体群と近縁で、2017年に確認されたカワウソの個体群と同様の系統であることがわかったのです。

2017年に確認された個体が2024年まで生存した可能性(野生のカワウソの平均寿命は5年ほど)、新たに海を渡ってやってきたカワウソがいた可能性、対馬において繁殖活動があり、新たな世代が誕生した可能性と3つのパターンがあるとのこと。

注/掲載したカワウソの画像はすべて動物園のユーラシアカワウソでイメージ画像です

長崎県・対馬に絶滅したはずのカワウソが生息!?
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