富山県黒部市の生地(いくじ)地区は、黒部川扇状地の末端にあたり、豊富な湧き水が自噴する地。「黒部川扇状地湧水群」として環境省の名水百選にも選定されています。経妙寺の近くに湧くのが清水庵の清水(しょうず)。『奥の細道』途中、大垣へと向かう松尾芭蕉が「清水庵」と名付けたという伝承のある泉です。
松尾芭蕉命名の伝承が残る泉
元禄2年7月13日(1689年8月27日)、芭蕉は早朝に市振(いちぶり/現・新潟県糸魚川市)を出発し、親不知(おやしらず)を越えて越中(富山県)に。
「黒部四十八ヶ瀬とかや、数しらぬ川をわたりて、那古といふ浦に出づ」(黒部四十八が瀬というのだろうか、数え切れないほどの川を渡って、那古という浦に出た)と『奥の細道』には記されています。
この黒部四十八ヶ瀬が黒部川扇状地で、末端には幾重にも川が分流し、何本も川を渡ったことがわかります。
『曾良随行日記』には、「入善ニ至テ馬ナシ。人雇テ荷ヲ持せ、黒部川ヲ越」と簡潔に記載。
この記述から、芭蕉たちは海岸寄りの下街道を通り、黒部川扇状地の末端の生地を抜けたこともわかるのです。
そんな芭蕉たちは、伝承によれば、経妙寺に境内の庵にこんこんと湧き出る清らかな水を見て、「清水庵」と名付けたのだということに。
清水庵の清水は、今でも湧出量は生地で最も多く、1分間に600リットル。
しかも鉄分が少ないまろやかな味。
現在も地区の「共同洗い場」として活用されています。
名称 | 清水庵の清水/しみずあんのしょうず |
所在地 | 富山県黒部市生地中区 |
関連HP | 黒部市公式ホームページ |
電車・バスで | あいの風とやま鉄道生地駅から徒歩30分 |
ドライブで | 北陸自動車道黒部ICから約7km |
駐車場 | くろべ名水公園駐車場(58台/無料)を利用 |
問い合わせ | 黒部市商工観光課 TEL:0765-54-2111 |
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