火山調査委員会が監視すべき火山、8火山を選定

文部科学省の火山調査研究推進本部・火山調査委員会は、2024年9月25日(水)、富士山など全国に111ある活火山の現状の評価と、「重点的に現状の評価を実施する火山」の選定を行ないました。その結果、8火山が「重点的に現状の評価が必要」、つまりは要監視の火山としています。

注目の富士山は「静穏」という評価

薩摩硫黄島
重点的な評価が必要な火山のひとつ、薩摩硫黄島(鹿児島県)

重点的な評価が必要な火山の8火山は、過去1年間に噴火が観測されたのが、硫黄島((いおうとう/東京都・小笠原諸島南部)、桜島(鹿児島県)、薩摩硫黄島(さつまいおうじま/鹿児島県・薩南諸島北部)、諏訪之瀬島(すわのせじま/鹿児島県・吐噶喇列島)の4火山。

さらに噴火はありませんが地震や地殻変動などが観測されたことから、想定される火山活動の評価が必要な火山などとして、焼岳(長野県・岐阜県/北アルプス)、岩手山(岩手県)、口永良部島(くちのえらぶじま/鹿児島県)を選んでいます。
加えて、気象庁が24時間体制で監視する常時観測火山ではない八幡平(秋田・岩手県境)も選ばれています。

八幡平の選定は少し意外ですが、八幡平には膨張性の地殻変動があるものの(「20年ごろから見られる膨張性の地殻変動は鈍化しつつ続いている」)、活動を評価するための知見が不十分であるためとのこと。
火山活動が懸念されている岩手山は、「2024年初めごろから地殻変動や地震活動が活発になっている」という評価です。

「重点的に現状の評価を実施する火山」となった8火山については、2025年の年明けまでに火山活動を詳細に評価し、さらなる調査研究の方策などに役立てる方針です。

9月27日に噴火から10年となる御嶽山(長野・岐阜県境/木曽御岳)は、爆発後は静穏が続いていますが、噴気活動は依然として噴火前に戻っておらず、突発的な火山灰などの噴出の可能性があると評価しています(山頂部にシェルター設置、山小屋のヘルメット常備などの噴火対策が進んでいますが、入山にあたっては注意が必要)。

注目の富士山は「静穏」という評価です。

ちなみに火山調査委員会(委員長・清水洋九州大名誉教授)は4月に発足した文部科学省の火山調査研究推進本部(火山本部)の下部組織で、活火山の現状の評価は初となります。
こうした委員会の設置は火山研究者にとっては悲願だったもので、今後の成果が期待されます。

日本の活火山(火山調査研究推進本部政策委員会決定)は111、そのうち活動火山対策のために観測、測量、調査及び研究の充実等が必要な火山は51火山あります。
活火山の定義は、「概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」としています。
そのうちの51火山は、活火山について、火山防災対策の充実を図るため、今後100年程度の中長期的な噴火の可能性及び社会的影響を踏まえ選定された火山です。

八幡平から眺めた岩手山
八幡平から眺めた岩手山
火山調査委員会が監視すべき火山、8火山を選定
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