和歌山県和歌山市にある岩橋千塚古墳群(和歌山県で唯一、国の特別史跡に指定)・和佐地区にある前方後円墳が、天王塚古墳(てんのうづかこふん)。一帯の最高点である天王塚山(標高155m)山頂に築かれた古墳で、墳丘長88mは、和歌山県第1位。
玄室奥壁の高さ5.9mは国内2位を誇る
大日山と矢田峠の中間、岩橋山地のなかでは最高所につくられた前方後円墳が天王塚古墳。
6世紀中葉(古墳時代後期)頃の築造で、埋葬施設は後円部における両袖式横穴式石室。
石室の全長は10.59mですが、玄室奥壁の高さは5.9mもあり、高さが6mに迫る石室は非常に稀(まれ)。
高さ5.9mは熊本県八代郡氷川町にある大野窟古墳(おおのいわやこふん)の6.48mに次ぐ国内2番目を誇っています。
結晶片岩の板石を積み上げ、左右の壁の間に8本の巨大な石梁(いしはり)を架け、奥の壁から突き出た2枚の石棚で石室を高く積み上げています。
石室内は特別公開時のみ見学が可能です(平成30年に行なわれた公開が54年ぶり、今後は特別公開日を設ける予定)。
墳丘表面からは葺石、埴輪ともに検出されておらず、同じ岩橋千塚古墳群の大日山35号墳(墳丘長86mで和歌山県第2位の前方後円墳)から豊富な埴輪が出土したのとは異なっています。
被葬者は、大日山35号墳(6世紀前半)の後継となった紀伊における首長だと推測でき、紀伊において、この時代に、絶大な権力を背景にして石室を造る技術の到達点を迎えたことがわかります。
平成29年の発掘調査では、5000点にも及ぶ玉類、飾られた履(くつ)などが出土。
出土した須恵器などは、紀伊風土記の丘資料館に収蔵展示されています。
和歌山県では天王塚古墳・墳丘長88m、車駕之古址古墳(しゃかのこしこふん/和歌山県和歌山市木ノ本)・墳丘長86m、 そして大日山35号墳(岩橋千塚古墳群・大日山地区)・墳丘長86mが三大古墳で、以下、井辺八幡山古墳・墳丘長70m、大谷山22号墳・墳丘長70m、大谷古墳・墳丘長70mと続き、上位の古墳はすべて県都・和歌山市内にあります。
天王塚古墳 | |
名称 | 天王塚古墳/てんのうづかこふん |
所在地 | 和歌山県和歌山市下和佐 |
関連HP | 和歌山市公式ホームページ |
電車・バスで | JR和歌山駅から和歌山バス紀伊風土記の丘行きで20分、終点下車 |
ドライブで | 阪和自動車道和歌山ICから約3.5km |
駐車場 | 和歌山県立紀伊風土記の丘駐車場(80台/無料) |
問い合わせ | 和歌山県立紀伊風土記の丘 TEL:073-471-6123/FAX:073-471-6120 |
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