【冬の絶景】(5)宮崎市田野町・壮大な「大根やぐら」

宮崎県と鹿児島県では有名な「大根やぐら」。11月に杉の丸太と竹を小屋掛するように屋根型に組み立て、大根の収穫が始まる12月初旬頃から干し始め、2月下旬頃まで続く、「冬の風物詩」となっているのが、「大根やぐら」。とくに宮崎県宮崎市田野町、清武町では壮大な「大根やぐら」を目にすることができます。

特産の大根漬けを生み出す秘密兵器が「大根やぐら」

熟成が進んだ大根、酵素の作用で辛みが抜け、うまみと甘みが出る

冬場に使用された大根畑は、グリーンシーズンにはタバコの葉、里芋、甘藷(かんしょ)などが作られ、二毛作で効率よく使われています。

田野町、清武町では、昭和初期から千切り大根の出荷地で、昭和35年頃、鹿児島県内の漬物業者がこの大根に目をつけ、農家にたくあん用の大根栽培を依頼したのが始まりです。
後に、収入をアップさせるため、委託栽培ではなく、農家独自でたくあん用生大根の栽培に転じ、栽培した大根を鹿児島の漬物業者に販売する態勢に転じたのです。

さらに地場産品の育成ということもあり、JAが地元にたくあん工場を建設し、地産態勢が完成。
干し大根の価格が高値で安定しますが、それを支えたのが、この「大根やぐら」ということに。

「大根やぐら」の大きさは幅6m、高さ6m、長さ50m、棚数は10段前後が標準的で、長さは最大で100mを超えるものも。
降雨の時と気温が0度になるような時には湿気による菌の発生を防ぐため「大根やぐら」をブルーシートで覆ってしまうため、雨の日、その前後と寒気の入る際は出かけても青い屋根を見るだけになってしまいます。

単に干しているのではなく、朝掘った大根を屋根に干し、夕方には夜露や雨よけのシートをかぶせ、夜は冷えすぎないようにストーブを焚くといった手間隙かかる作業が行なわれています。

実は、大根やぐらが生まれた背景が、鰐塚山(わにつかやま)から吹き下ろす寒風と、冬の少雨、そして氷点下にはならないという気候的な要因で、干し上がった大根は、酵素の作用で辛みが抜け、うまみと甘みが出てくるのだとか。

田野町内には300基ほどあるので見つけるのは簡単ですが、畑内への立ち入りは厳禁。
公道からの見学を。
例年12月〜1月下旬にはライトアップも実施。

画像協力/宮崎県

田野名物の大根漬け
田野名物の大根漬け
【冬の絶景】(5)宮崎市田野町・壮大な「大根やぐら」
所在地 宮崎県宮崎市田野町乙
場所 田野運動公園周辺
電車・バスで JR田野駅から徒歩20分
ドライブで 宮崎自動車道田野ICから約4km
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
大根やぐら

日本農業遺産認定「大根やぐら」とは!?

『宮崎の太陽と風が育む「干し野菜」と露地畑作の高度利用システム』として日本農業遺産に認定される「大根やぐら」。宮崎県宮崎市田野町・清武町で、おもに漬物などの原料となる大根を櫓(やぐら)を組んで冬の西風(寒風)にさらすことで、旨味、甘みをアッ

大根やぐらライトアップ

大根やぐらライトアップ|2025-2026

2025年12月1日(月)〜2026年1月24日(土)18:00〜22:00、宮崎県宮崎市田野町、田野運動公園の周辺(2ヶ所)で『大根やぐらライトアップ』を実施。田野町の冬の風物詩となるイベント。宮崎市周辺では、収穫した大根を櫓(やぐら)を

よく読まれている記事

こちらもどうぞ