【全国雑煮図鑑】 雑煮文化の最南端! 鹿児島「さつまえび雑煮」

さつまえび雑煮

かつての琉球国、現在の沖縄県には、正月に雑煮を味わうという食文化はないので、その最南端が薩摩国(さつまのくに)、現在の鹿児島県薩摩地方ということに。鹿児島県内でも地域によっての違いはありますが、薩摩半島では、巨大なえびを入れる「さつまえび雑煮」を味わうのが一般的。

不知火海で揚がる大きなクマエビがメイン!

【農林水産省公式】
うちの郷土料理~次世代に伝えたい大切な味~ 鹿児島県「さつまえび雑煮」レシピムービー

もともと、薩摩藩主・島津家が「えび雑煮」を味わっていたのが、明治以降に庶民にも広がったもの。
出水市(いずみし)の沖、遠浅の不知火海(しらぬいかい=八代海)では、大小9の帆に風を受けて進む打瀬船(うたせぶね=霞ケ浦などでも使われる帆船)での伝統漁法でエビを捕獲。
「桁」(ケタ)と称される熊手のような歯のついた網を不知火海に沈め、冬眠しているクマエビ(クルマエビ科の大型エビ、アシアカエビ)を驚かせて捕獲するというユニークな漁法。
松の薪を使った炭火で乾燥させて、保存用の焼きエビにしたものが、往時には高級食材として島津家に納めらていました。
鹿児島市内の干物屋には吊るされていて、それが年末の風物詩となっています。

具材としては、焼きえび、里芋、豆もやし、かまぼこ、椎茸、人参、春菊などで、えびが長寿(腰が曲がるまで長生きできる)、里芋は子孫繁栄、そして豆もやしが「まめまめしく元気で働ける」という願いを込めたもの。
餅は丸餅を焼いて入れる焼き餅タイプです。

焼いた餅と具材を器に入れ、かつお節で取った出汁(だし)を注ぐというもので、味付けは九州ならではの淡口醤油。

さつまえび雑煮
【全国雑煮図鑑】 雑煮文化の最南端! 鹿児島「さつまえび雑煮」
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