【全国雑煮図鑑】日本一シンプル!? 愛知県「名古屋雑煮」

名古屋雑煮

愛知県、とくに名古屋雑煮の雑煮は、角餅と餅菜(正月菜)と呼ばれる特産の小松菜の仲間を使っただけというシンプルなスタイル。一点豪華主義で、結婚式などの豪華さで有名な愛知県ですが、雑煮に関しては極めてシンプル。実は、徳川家康や、尾張藩主の質素倹約ぶりを今に伝える姿ともいわれています。

日本一シンプルともいわれる名古屋の雑煮

名古屋雑煮

餅菜(正月菜)ですが、愛知県でも雑煮用に育てる小松菜の仲間。
小松菜よりも葉や茎が柔らかいのが特徴で、小松菜特有の苦みも少ないのでまさに雑煮には最適。
全国的に出回らず、あくまで「あいちの伝統野菜」であり続けるのは、茎が細くて作業中に折れてしまうこと、さらに葉がすぐに黄色くなるので、県外に出荷するのが難しいため。

小松菜を代用にする人もいますが、こだわる人は餅菜(正月菜)の種をネット販売で購入し、庭やベランダのプランターで栽培するほどです。

さてさて、角餅と餅菜(正月菜)だけというシンプルさのルーツは、質素倹約だったことで知られる徳川家康の教えを尾張藩主が守ったからとも徳川吉宗の倹約令のに際して、徳川宗春が豪華な食事を吉宗に咎められたためともいわれています。
吉宗が咎めたという説は、徳川宗春が吉宗の意向に反して倹約令に背を向け、殖産興業、芸能振興策をとったことで、現在の「ものづくりの愛知」の基盤となったという歴史を考えると、後世の作り話の可能性も。

残りの説が、「名(菜)を持ち(餅)上げる」あるいは「名(菜=名古屋)を持ち(餅)上げる」という縁起担ぎ説ですが、徳川家康の教えというのが根付いたというのが正解のようです。

愛知は、伝統的に赤味噌、それを熟成させた赤だし味噌で知られる味噌文化(豆味噌文化)ですが、正月はハレの日なので、日常使いの味噌ではなく、丁寧に出汁(だし)をとったすまし汁(かつお出汁に醤油、味醂、酒を加えたもの)となっています。
角餅は焼かずに、そのまま入れ、最後にかつお節をのせていただくのが一般的。
餅を焼かないのは「白(城)が焼ける」のを避けたという説もありますが、これも後付でしょう。

なお、三河地域では味噌仕立ての雑煮もあり、名古屋を中心とした尾張特有の雑煮ということになります。

ちなみに愛知県、岐阜県が雑煮文化の東西の分かれ目で、東日本側が角餅、西日本側が丸餅。
さらに関西文化の白味噌仕立てと、東日本のすまし汁文化との境目。
雑煮では名古屋は東日本文化ということになります。

餅菜(正月菜)
これがシュウ酸の苦みが少ない餅菜(正月菜)
【全国雑煮図鑑】日本一シンプル!? 愛知県「名古屋雑煮」
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