近年の「東京都ツキノワグマ目撃等情報」を見ると奥多摩と呼ばれる檜原村(ひのはらむら)、奥多摩町、青梅市などで「ツキノワグマらしきもの」が多数目撃されています。令和5年には、八王子市での目撃情報も増加しており、ハイキング途中などでの遭遇に注意が必要であることがわかっています。
「クマが生息する首都」は世界的にも珍しい!
「クマが生息する首都」といわれる東京都。
世界中を探しても、首都でありながらクマが生息する場所は、世界的にも珍しいとのこと。
近年の目撃情報は檜原村、奥多摩町、八王子市などが多数を占めています。
ただ、令和5年10月月18日には、町田市相原町の野外青少年施設「Nature Factory 東京町田」(旧・大地沢青少年センター)近くで、体長90cm程度のツキノワグマ1頭が目撃されており、生息環境の拡大も懸念されています。
東京都は、自治体や住民から寄せられた情報をもとに「目撃マップ」を作成し、東京都環境局のホームページで「東京都ツキノワグマ目撃等情報」を公開していますが、それを見ても八王子などでの目撃例の増加がわかります。
奥多摩や奥高尾などにハイキングなどに出かける際には、事前に「東京都ツキノワグマ目撃等情報」を確認し、出没場所(目撃や痕跡が確認される場所)では、音を出すなどクマを回避する行動が必要です。
あくまで「ツキノワグマらしきものの目撃例で、カモシカと見間違える場合も。黒い動物で、あまり動かず、角(つの)があったらカモシカです」とのことですが、『令和5年度東京都ツキノワグマ目撃等情報一覧』を見ても4月18日・小仏峠~小仏バス停(目撃)、5月1日・堂所山付近(痕跡)、5月14日・裏高尾町(目撃)、5月17日・堂所山山頂付近(目撃)、6月5日北高尾・滝ノ沢林道付近(撮影)、6月14日・景信山~白沢峠(撮影)、6月15日・景信山~板当峠(撮影)、6月22日・景信山〜板当峠(撮影)、7月6日・和田峠付近・醍醐林道(捕獲)、7月9日・景信山付近(撮影)、7月20日・景信山付近(撮影)など春から初夏に限った八王子市内でも、これほど多くの事例があるのです。
奥多摩町でも山のふるさと村、日原、小河内ダム、六ッ石山などでも目撃、痕跡があり、水根地区、峰谷地区では捕獲もされています。
生息エリアとしては、奥多摩町、檜原村、八王子市、青梅市、日の出町、あきる野市で、町田市の目撃例が1例という状況です。
令和5年にはまだ実際の人的な被害はありませんが、令和4年に奥多摩町の山中で鹿狩りをしていた猟友会の男性がクマに出くわし、引っかかれたという事例が2件発生しています。
東京都のツキノワグマは絶滅危惧種に
12月〜3月下旬が冬眠時期なので、それ以外のシーズンのハイキングなどは要注意ということに。
その性質は基本的には臆病で、本来なら人の気配を感じると逃げていきますが、偶然に人と鉢合わせたときなどに驚いて襲ってくることがあります。
母グマは冬眠中に出産し、5月頃に冬眠穴から抜け、1歳半になるまで子グマは親離れしません。
とくに子グマを連れている母グマは、子グマを守ろうとするため興奮しやすく非常に危険です(母グマが立ち上がった際には、かなり危険です)。
奥多摩湖を泳いで横断したというほど泳ぎも達者で、陸上なら時速40kmで走ることができます。
ツキノワグマは、東京都の保護上重要な野生生物種(東京都レッドリスト2020年版)において、南多摩地域(八王子市)で絶滅危惧2類(VU/現在の状態をもたらした圧迫要因が引き続き作用する場合、近い将来「絶滅危惧1類」のランクに移行することが確実と考えられるもの)、西多摩地域(奥多摩町、檜原村、あきる野市、青梅市、日の出町)で準絶滅危惧(NT/現時点での絶滅危惧度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」として上位ランクに移行する要素を有するもの)となっています。
また、アジアクロクマ(Asian black bear)とも呼ばれ、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(種の保存法)では、国際希少野生動植物種に指定されています。
東京都ではツキノワグマの保護のため、平成20年4月1日から狩猟による捕獲が禁止されています。
ツキノワグマに遭遇しないためには!?
ハイキング途中などで、ツキノワグマに遭遇しない方法は、「生息エリアの山入る場合には、自分の存在をツキノワグマに知らせることが重要」(東京都多摩環境事務所)とのことで、以下が鉄則。
「目撃等の情報が多い場所やツキノワグマの行動が活発になる早朝、夕暮れの時間帯は注意が必要です。また、登山道で見通しの悪い場所や沢の音が大きく響く場所などではクマと鉢合わせしやすいため気を付けてください」とのこと。
- クマ鈴を付けて鳴らす
- 大きめの音量でラジオかける
- 大きめの声で会話する
- 手を叩きながら歩く
東京都でもクマの出没が増加! | |
関連HP | 東京都環境局公式ホームページ |
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