長野県の木曽谷と伊那谷の間に連なる中央アルプス(木曽山脈)。千畳敷カールまで中央アルプス駒ヶ岳ロープウェイで到達することができ、木曽駒ヶ岳は人気の高峰です。その木曽駒ヶ岳を中心とする中央アルプスで、雷鳥が前年比1.4倍の190羽に増えていることが判明、遭遇のチャンスも増大しています。
絶滅した中央アルプスの雷鳥が見事に復活中!

背景にあるのは環境保全による自然増加ではなく、環境省信越自然環境事務所(長野県長野市)の取り組む「復活大作戦」によるもの。
中央アルプスの雷鳥は、1969年を最後に目撃されず、ほぼ絶滅したとされていましたが(三沢岳などに生息した)、2018年に「飛来メス」が発見されたことで取り組みが始まりました。
国の特別天然記念物ニホンライチョウの生息数を増やす取り組みで、2020年に北アルプス・乗鞍岳から雷鳥3家族19羽を移送し、繁殖を見守ってきました。
ライチョウは基本的に一夫一妻。
つまりはテリトリーがどれだけあるかで、番(つがい)の数もわかります。
縄張り数は83と計算され、縄張りを形成できなかった「あぶれオス」を加えた数を生息数としています。
復活作戦のきっかけとなった雌のライチョウ「飛来メス」(推定11歳)は、2025年も6卵の産卵が確認され、5年連続で繁殖に成功しています。
ただし、調査対象となっている野生の雷鳥では、国内でも最高齢のメスとなっています。
環境省の調査で、中央アルプス最南部の越百山(こすもやま/標高2569m)でも生息が確認されていますが、雷鳥は森林限界上のハイマツ帯を住処(すみか)とするので、越百山が中央アルプスの南限ということになります(越百山以南の奥念丈岳などにはハイマツがありません)。
復活作戦の一環で「那須どうぶつ王国」(栃木県那須町)で誕生し、2022年に放鳥した16羽のうち、オスのヒナ1羽が成長し、メス1羽と番になっていることも、2024年の調査で確認。
2024年9月に放鳥した「那須どうぶつ王国」と「大町市立大町山岳博物館」(長野県大町市)生まれの7羽は、これまでに1羽の生存が確認されています。
中央アルプスの推定生息数は、2022年・41羽、2023年・83羽、2024年・120羽、2025年190羽と順調に増加しています。
同時に、猿の追い払いなども行なわれており、ヒナの生存率を高める地道な取り組みも。
2025年9月には、動物園生まれのヒナなど30羽ほどを野生復帰させる予定となっており、今後の生息数増大にも期待がかかります。
順調に増加すれば、早ければ2029年度に環境省レッドリストの「絶滅危惧1B類」から「2類」へと、危険度を引き下げる可能性もあるとのことです。
中央アルプスで雷鳥の家族を見かけたら、静かに見守り、むやみに追いかけないようにしてください。

絶滅した中央アルプスの雷鳥が復活! 190羽にまで増加! | |
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