かつて、活火山、休火山、死火山という名を聞いたり、授業で習ったという人もいるかと思います。東北の月山(出羽三山)、中部山岳地帯の御嶽山(おんたけさん)、中国地方にある大山(だいせん)と三瓶山(さんべさん)などですが、今ではすべてが気象庁指定の活火山に。
1979年の御嶽山噴火で火山分類が見直される!
日本では長らく、過去2000年間に噴火した火山+地熱活動の活発な火山を「活火山」(Active volcano)、有史以来活動の記録がなく、今後噴火する見込みのない火山を「死火山」(Extinct volcano/Extinct=消滅の意)、その中間で、火山活動の記録が残されるものの、現在は噴気などの目立った活動のない火山を「休火山」(Dormant volcano/Dormant=休眠の意)と呼び分けていました。
こうした分類は日本に限ったことではなく、むしろ日本は明治以降、海外の火山研究の導入で、Active volcano、Dormant volcano、Extinct volcanoを活火山、休火山、死火山と呼び分けたにすぎません。
世界的には活火山は2000年ではなく1万年前からと少し厳し目の定義ですが、いずれにしろ日本独自の分類ということではありませんでした。
この分類を大きく揺るがせたのが1979年(昭和54年)10月28日の御嶽山噴火です。
御嶽山は最後のマグマ噴火が2万年前で、以降は水蒸気爆発のみということで死火山に分類されていたことから(気象庁はすでに77活火山に数えていました)、「死火山噴火」と大ニュースとなり、火山学会も「死火山」を見直す必要性に迫られました。
御嶽山も再度調査が行なわれ、その結果、2万年間に5回(1万年前以降、1万年前、9000年前、5200年前、5000年前)のマグマ噴火を起こしていることがわかったのです。
年代測定法の進歩により火山の過去の詳しい活動史が多くの山で明らかとなり、桜島のように頻繁に噴煙を上げる火山もあれば、1000年や2000年周期で噴火する火山、数千年〜数万年の休止期を挟んで活動を再開する火山などがあることがわかってきたのです。
つまり、「死火山」どころか、「休火山」もないということが明らかになったのです。
それが1979年(昭和54年)10月28日がきっかけと、意外に最近だったことに驚く人も多いのは、昭和54年頃までに小中高校に通っていたなら、「休火山」、「死火山」という言葉を耳にしているからでしょう。
かつて死火山とされた大山や三瓶山も、数千年から5万年前以前には溶岩や火砕流を大量に放出する活発な火山活動を行なっていました(大山も5万年前も噴火では火山灰が福井まで飛び、敦賀半島周辺では厚さ数十cmも積もっています)。
実際に火山活動が再開される際には、何らかの前兆現象が見込まれますが、三瓶山に関しても関係自治体では「三瓶山の火山災害にかかる連絡会議」を開いて、情報交換と火山災害に対する情報共有が行なわれています。
2003年(平成15年)に火山噴火予知連絡会は「概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」を活火山と定義し直しました。
当初、活火山の数は108でしたが、2011年(平成23年)6月に2火山、2017年(平成29年)6月に1火山が新たに選定され、活火山数は現在111となっています。
ちなみに、最後に活火山に仲間入りしたのは、意外にもそれまでは除外されていた栃木県の男体山(なんたいさん)です。
死火山と呼ばれていた出羽三山の月山は、最後の噴火活動は30万年ほど前で、地下のマグマは既に冷え固まっている可能性が高いと推測されていて活火山には含まれていませんが、それでも噴火の可能性はゼロではありません。
死火山、休火山という言葉はいつ消えた? | |
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