平均で30年に1回噴火した富士山、実は300年以上も噴火していないのが異常!

富士山は噴火警戒レベル1(活火山であることに留意)で、夏山の開山期なら登頂することができますが、火山学者は「富士山は非常に若い活火山で、これからもっと活発化する」と警鐘を鳴らしています。実は1707年(宝永4年)の大爆発から、噴火していませんが、過去には平均すると30年ごとに火山活動があったのだとか。

噴火の空白期間は過去5000年で最長

宝永の大爆発で生まれた宝永火口と宝永山

富士山は5600年前から現在までの間に、噴火した回数は180回を超えています(有史以来の古記録によれば噴火は781年以降、17回記録されています)。
「噴火のデパート」と呼ばれる現在の新富士火山だけでも、平均で30年に1回噴火しているということに。
ところが現実には1707年(宝永4年)の大爆発以降には、小さな噴火も発生せず、300年以上にわたってまったくの沈黙状態が続いています。

一般に人間のサイクルと富士山(火山)のサイクルは、1万倍も違い、人間の5000年は、火山としてはわずか半年にすぎないのです。

火山は、プレートの運動によって地下深くでマグマが生成、マグマ溜まり(富士山では地下15kmにマグマ溜まりがあります)から上昇して噴火が起こります。
富士山では有史以来、山頂火口での爆発はなく、裾野に噴火口をつくるようになっています。
最後の噴火から300年以上経っているので、十分にマグマが溜まり、噴火がその分、大規模になる可能性もあるのです。

山梨県富士吉田市、山頂から北東に10kmも離れた北富士演習場内にある雁ノ穴火口(がんのあなかこう)は、2016年に1500年前に誕生した富士山の噴火口であることが判明。
実はこの火口、従来の想定火口域の外側にあるため、監視カメラもなく、防災計画もない「ノーマークの火口」。
市街地までわずか1.5kmの場所に噴火口があることから、ハザードマップの改訂(2021年に17年ぶりに改訂)につながったのです。
草津白根山の噴火の苦い経験から、気象庁は全国50の常時観測火山の噴火履歴を精査。
その過程で、富士山麓の雁ノ穴と呼ばれる岩窟が、実は噴火口だったことが判明したのです。

864年~866年(貞観6年〜貞観7年)の貞観(じょうがん)の大噴火では、青木ヶ原溶岩流が流れ出して、剗の海(せのうみ)を分断、精進湖と西湖が生まれました。
流れ出した溶岩流の総量は、近年の研究で量が増え、13億立方メートルだと推測されています。
流出溶岩の量が増えたこと、山腹に火口が見つかったことから、溶岩流がより早く、より遠くに到達する可能性が生まれたのです。

貞観の大噴火で流出した溶岩流の上に苔や木が茂った青木ヶ原樹海

溶岩流は新東名高速道路に1時間45分で到達!

富士山はユーラシアプレート(大陸プレート)にのっていますが、南東の方からフィリピン海プレート(海洋プレート)が北西に向かって押し、その隙間をマグマが地下から埋めるように上がってくるというメカニズムのため、山頂火口からだけでなく、側火山などからも噴火の可能性があるのです(大陸プレートに沈み込んだ海洋プレートから水のような成分が放出され、上部マントルの一部が溶けてマグマが発生し上昇するというメカニズムです)。

実は富士山にはわかっているだけで側火山が70以上あり、その多くが山頂を中心に北西-南東方向に偏って分布しています。
富士山のマグマが上昇する際につくられる割れ目が、北西-南東にできやすいことを示していて、美しいコニーデ型といわれる富士山の山体も、地形図を眺めると北西-南東方向に長径をもつ楕円形であることがわかります。

ちなみに改訂版のハザードマップでは、溶岩流は、最短で新東名高速道路に1時間45分、東海道新幹線に5時間で達すると想定されています。
遠くない将来、大規模噴火が確実に起こる、そう考えるのが富士山の常識なのです。

日本全国にある活火山は美しい景観と、登山の対象を生んでいますが、同時に活火山であることから観光と安全の両立という悩ましい問題にも直面します。
その最前線に位置するのが富士山なのです。

記録に残る有史以来の富士山噴火

年代現象火山活動の状況
781年
(天応元年)
噴火降灰
800年~802年
(延暦19年~延暦21年)
噴火北東山腹で噴火
大量の降灰(東海道足柄路は埋没、箱根路に)
溶岩流の噴出
864年~866年
(貞観6年〜貞観7年)
大噴火北西山腹で噴火
長尾山付近から溶岩流出、剗の海(せのうみ)を分断
精進湖、西湖、青木ヶ原が誕生
937年
(承平7年)
噴火北山腹で噴火
スコリア降下、溶岩流
999年
(長保元年)
噴火詳細不明
1033年
(長元5年)
噴火北山腹で噴火
スコリア降下、溶岩流
1083年
(永保3年)
噴火詳細不明
1435または1436年
(永享6年または7年)
噴火北山腹で噴火
スコリア降下、溶岩流
1511年
(永正8年)
噴火詳細不明
1707年
(宝永4年)
大噴火南東山腹(宝永火口)で噴火
江戸にも多量の降灰
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