日本一の滝といえば、立山連峰の溶岩台地の末端から落ちる称名滝(しょうみょうのたき)で、落差350m。 ところが、どっこい、「滝の横には幻の日本一があるんです」(富山県観光連盟の話)とのことで、その滝が雪解けシーズンと雨の後に誕生するハンノキ滝。落差はなんと500m!
落差500mの大瀑布を見上げよう!
約10万年前に立山の火山活動が活発化して大量の火山灰が噴出し、現在の弥陀ヶ原高原が誕生。
台地を削り取りながら一本の川が流れましたが、その流量が比較的に少なかったので、12km以上もの岩盤を削り取って後退し、落差日本一の滝が生まれています。
削られた結果は、滝までの途中で見上げる大岩壁「悪城の壁」。
高さ500m、幅2kmという断崖絶壁が続いています。
さてさて、富山県観光連盟が「滝の横には幻の日本一があるんです」という、「幻の日本一」は、
4月〜5月の雪解け時にのみ現れるハンノキ滝。落差はなんと500m。
「残雪の多い年には初秋まで水量を認めることもありますが、見学するなら春がおすすめ」
とのこと。
立山信仰では涅槃滝(ねはんのたき)の名が!
称名滝・ハンノキ滝の上流には、地獄谷から流れ落ちる「御赦免の滝」こと、ソーメン滝が懸かっています。
立山は富士山、白山と並ぶ「日本三霊山」のひとつ。
「立山曼荼羅(たてやままんだら)」で知られる宗教登山のメッカでした。
御赦免の滝とはまさにこの立山信仰に由来する名前。
ハンノキ滝も立山信仰では涅槃滝(ねはんのたき)の名が。
涅槃とは仏教用語で「悟りの境地」(仏教のめざす理想)。
称名に涅槃、まさに日本一にふさわしい名前です。
国土地理院の2万5000分の1地形図にも「ネハンの滝」と記されています。
立山黒部ジオパークのジオサイトにも
2014年8月28日に日本ジオパークに認定された「立山黒部ジオパーク」(Tateyama Kurobe Geopark)。
「38 億年×高低差4000m! 体感しようダイナミックな時空の物語」がこのジオパークのテーマなのですが、その象徴的な存在が、称名滝。
落差350mは、堂々の日本一。
2位の羽衣の滝(北海道上川郡東川町)は落差270mなので、その差は80mもあります。
「立山黒部ジオパーク」では、称名渓谷ジオサイトにもなっていて、立山黒部アルペンルート探勝の際には、少し時間にゆとりをもって、称名渓谷の探索を。
称名滝は「日本の滝百選」にも富山県からは唯一の選定。
竜が住むという民間伝承もあってかつては「人は近付いてはならない」とされた聖域だったとか。
アルペンルート開通以前の立山・雄山への登山道(宗教登山時代の登拝道)は滝横の八郎坂を登っていましたが、登山道は今も現存しています。
登山道の荒廃も進み、立山町は、「八郎坂登山道は、急勾配かつ足場が狭い箇所や不安定な箇所が多々ある上級者向けの登山コースです。十分な登山経験と装備の上、安全対策としてヘルメット等の着用を推奨」としています。
日本一の称名滝の横に落ちる「幻の日本一」ハンノキ滝 | |
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