JR誕生後に利用者数が2.6倍 「混雑率は日本一」ともいわれる九州の路線とは!?

 6月に開かれた熊本県議会で話題となったのが、JR豊肥線・熊本駅〜肥後大津駅間の大混雑。朝夕のラッシュタイムには乗車率135%と山手線を超える数字です。なぜ混むのかといえば世界最大の半導体受託製造企業(ファウンドリ)の台湾積体電路製造(TSMC)の進出と、沿線の住宅開発が進んでいるから。

セミコンテクノパークの誕生で沿線が大変貌

TSMC熊本工場

国土交通省が発表する『JRにおける各区間の混雑の見える化』(2020年度)によれば、山手線
内回り・新大久保→新宿7:40~8:40の乗車率は97%、中央線快速・中野→新宿の6:41~7:41が121%、総武線快速・新小岩→錦糸町6:34~7:34が124%、埼京線・板橋→池袋127%、武蔵野線・東浦和→南浦和が134%となっています。

JR西日本では片町線・鴨野→京橋7:30~8:30が120%でワーストで、100%を超える区間は稀です。

JR九州では日豊本線・行橋→小倉の普通7:12~8:12が91%ですが、豊肥線・肥後大津→熊本は93%なっています。

実はこのデータ、2020年度のもの。
台湾積体電路製造が熊本県菊池郡菊陽町に工場(セミコンテクノパーク=半導体産業集積地)を建設開始が2022年4月、本格的な稼働は2024年のことなので、93%という数字は工場ができる前のもの。
現在では混雑率は135%にも達しているのです。

この数字は日本一ともいえる混雑ぶりを表しており(2024度の平均通過人員は1日あたり1万2889人と、民営化した1987年度の2.6倍)、今後も沿線開発などで混雑率はさらに悪化することが予想されるため、JR九州と熊本県は一部区間の複線化も検討を始めています。

衝突を防止する側線がないため上り線と下り線の同時進入ができない原水駅(セミコンテクノパークとの間をセミコン通勤バスを運行)と武蔵塚駅、線路が1本のため列車交換(行き違い)ができない東海学園前駅など課題も山積みです。

熊本県は2025年7月2日(水)、JR豊肥線の輸送力強化に向けて沿線自治体(熊本市、大津町、菊陽町)と協議会を7月18日に設置すると発表。
増結・増便の要望や、駅での列車交換(行き違い)、複線化など、JR九州に対して今年度中に提案したいとしています。

JR誕生後に利用者数が2.6倍 「混雑率は日本一」ともいわれる九州の路線とは!?
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

 

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