圓福寺(大可島城跡)

圓福寺(大可島城跡)

広島県福山市の鞆の浦にある真言宗大覚寺派の寺が圓福寺。慶応3年(1867年)4月23日、海援隊を率いた坂本龍馬を乗せた蒸気船「いろは丸」が、紀州藩の「明光丸」と衝突・沈没した「いろは丸事件」。その際、紀州藩側の宿舎となった真言宗の寺が圓福寺。戦国時代前は大可島(たいがしま)という島で、中世の大可島城跡。

朝鮮通信使の宿所にもなった眺めのいい寺

圓福寺(大可島城跡)

大可島城は、鎌倉時代末期に城が築かれたと推測され、康永元年(1342年)、城主・桑原重信が足利氏に敗北した後は、村上水軍の拠点のひとつにもなっています。

足利尊氏の庶子で足方直義(足利尊氏の弟)の養子となった足利直冬(あしかがただふゆ)は、貞和5年(1349年)、長門探題に任じられた際(足利尊氏が足利直冬を遠ざけるための策といわれています)、鞆の浦の大可島城に留まって、人心の掌握を図り、上洛を目指します。
そのため、足利尊氏は直冬討伐令を出し、足利直冬は命からがら海上から九州へと逃れています。

関ヶ原後に芸備移封の福島正則は、鞆城(現在の福山市鞆の浦歴史民俗資料館)の大改築に入った際、この大可島城を廃城にしています。
大可島城周辺は埋め立てられ陸続きとなりましたが、辺りの海域を一望できる船番所だけは残されました。

圓福寺が現在の沼名前神社の南、小松寺の東から大可島城跡に移築されたのは江戸時代初期の慶長15年(1610年)頃。

幕末に起きた「いろは丸事件」では、坂本龍馬と海援隊は「明光丸」に乗り移り、「明光丸」が「いろは丸」を曳航していましたが途中で沈没。
坂本龍馬の主張で、現場からほど近い鞆に上陸し、紀州藩は圓福寺を宿所に定めたのです
日本最初の蒸気船衝突事件ですが、強引な姿勢の坂本龍馬に、紀州藩は押されるかたちで交渉は進展します。

往時を偲ぶものはありませんが、圓福寺は朝鮮通信使の上官の宿舎に利用され、歌会の舞台にもなりました。
ただし、現在の建物は、檀家の森下仁丹創業者・森下博の寄附により昭和初期に再建されたもの。
高台に位置することから、市街や瀬戸内に浮かぶ島々、晴れていれば四国も指呼のうち。
鞆港に突き出した江戸時代の波戸場(大波戸)も眼下にします。
本堂の裏手にある部屋が客殿の「夾明楼」(きょうめいろう)。
福禅寺の対潮楼、かつての大坂屋の対仙酔楼とともに鞆を代表する客殿で、「夾明楼」という名は頼山陽の叔父で広島藩士・頼杏坪(らいきょうへい/儒学者)の命名。

圓福寺(大可島城跡)
名称 圓福寺(大可島城跡)/えんぷくじ(たいがしまじょうせき)
所在地 広島県福山市鞆町鞆10
関連HP 福山観光コンベンション協会公式ホームページ
電車・バスで JR福山駅からタクシーで30分。または、鞆鉄バス鞆港行きで30分、鞆の浦下車、徒歩5分
ドライブで 山陽自動車道福山東ICから約15kmで福山市鞆の浦第1駐車場
駐車場 福山市鞆の浦第1駐車場(40台/有料)
問い合わせ 圓福寺 TEL:084-982-2508
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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