福井県坂井市、北前船で賑わった三国港(三国湊)で材木商を営んだ、新保屋・岸名惣助(きしなそうすけ)が代々住んでいた町家が旧岸名家。旧岸名家がある下新町は、かつては廻船問屋が軒を並べ、隣接する元新町とともに三国湊の商業の中心だった場所。現存する建物は、北前船で賑わった文政6年(1823年)築のもの。
北前船で繁栄した三国湊の材木商邸宅
妻入りの建物の玄関に平入りの下屋(かぐら)が付属した「かぐら建て」(外観は平屋建てですが、実は2階建て)と呼ばれる三国湊独特の建築で、修復工事が行なわれ、ほぼ旧状に復元、国の登録有形文化財に指定されています。
内部が公開され、通り庭や客用トイレの水琴窟、裏手に土蔵を配した三国の商家特有の造りの見学が可能。
1階には店の帳場や座敷、台所などがあり、2階には三国ゆかりの文化人の資料が展示されています。
土間一面に高級石材の笏谷石(しゃくだにいし)が敷かれている点、贅を尽くした三国仏壇にも注目を。
近くの坂井家住宅もやはり「かぐら建て」建築で国の登録有形文化財ですが内部の見学は不可。
ちなみに北前船は蝦夷地(現・北海道)の昆布、肥料として重宝された鰊粕(にしんかす)などの海産物、諸藩の米、幕府の御城米などを主に運びましたが、福井の笏谷石、東北の木材なども運び、三国には石材木材で巨万の富を得た多くの商人や廻船問屋が軒を並べたのです。
旧岸名家の建つ通りは、「三国湊きたまえ通り」として整備され、「三国湊町家館」、旧森田銀行などが建っていて、北前船の歴史探勝散策の中心的な存在になっています。
北前船で財をなした材木商・新保屋惣助の住宅として、日本遺産「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間~北前船寄港地・船主集落~」の構成資産にもなっています。
岸名家は、宝永4年(1707年)芭蕉十哲の一人、各務支考(かがみしこう)が三国湊に立ち寄ったのをきっかけに、俳諧結社「日和山吟社」(ひよりやまぎんしゃ)を結成し、宗匠となった岸名昨嚢(きしなさくのう/通称:新保屋惣助、号:斜雲舎昨襄、墓所は瀧谷寺)で知られ、三国湊に花開いた町人文化の中心地にもなっていました。
旧岸名家 | |
名称 | 旧岸名家/きゅうきしなけ |
所在地 | 福井県坂井市三国町北本町4-6-54 |
関連HP | 坂井市公式ホームページ |
電車・バスで | えちぜん鉄道三国駅から徒歩10分 |
ドライブで | 北陸自動車道金津ICから約15km |
駐車場 | なし |
問い合わせ | 旧岸名家 TEL:0776-82-0947/FAX:0776-82-0947 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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