富士山麓・青木ヶ原樹海一帯の地名は、謎の「ジラゴンノ」

ジラゴンノ

富士北麓・青木ヶ原樹海は、貞観6年(864年)の貞観大噴火で流れ出た溶岩流の上に苔や植物、木々が生い茂ったもの。行政的には山梨県南都留郡鳴沢村ですが、とくに鳴沢村の青木ヶ原エリアの字名は、「ジラゴンノ」で、ジラゴンノ運動場も整備されています。さてさて、この恐竜のような地名にはどんな意味があるのでしょう?

地名は鳴沢村鳴沢字ジラゴンノ

青木ヶ原樹海は、鳴沢村ジラゴンノ

「一歩入ると出られない」、「磁石がぐるぐる回って方向がわからない」などともいわれていますが、あくまで俗説。
東海道自然歩道など、遊歩道も整備され、歩道を外さない限り、探勝も可能です。

実際に磁石を持ち込んで確認すると、少し方位にブレはありますが、ぐるぐる回って方向がわからないというほどではありません。
樹海内でもカーナビや、スマホの地図アプリも正しく作動するので、GPSが狂うというのも都市伝説にすぎません。

実は、鳴沢村の富士河口湖町寄りでは、ジラゴンノ地区という名での工業団地を整備し、工場誘致を行なってもいます。
青木ヶ原と工場というと少し意外な感じですが、機械電子産業・健康関連産業の工場を誘致する山梨県企業立地重点促進区域となっているのです。

しかもエリア名も字名からジラゴンノ地区。
その北側にあるリゾートホテルの「富士緑の休暇村」も、南都留郡鳴沢村鳴沢字ジラゴンノ8532-5という地番。
なかには「じらごんの富士の館」などというホテルもありますが、実は宿泊者も「じらごんの」の意味をわかっていない可能性が大です。

謎の「ジラゴンノ」には、どんな意味があるのか、実は定かではありません。
溶岩が風化して白くなったシロ、原野の意の今野(コンノ)のシロコンノの転訛とする説もありますが、溶岩流としては比較的に新しいので白い溶岩流というのも少し違和感があります。

太郎坊と次郎坊という天狗を神格化した次郎坊権現(次郎権現)の野ということで次郎権現野というのが転訛というのが落ち着きはいいのですが、太郎坊と次郎坊は、駿河国(静岡県側)の伝承。
しかももともとは京・愛宕山の天狗が太郎坊、鞍馬山の天狗が次郎坊なので、少し無理があるような気がします。

鳴沢村の歴史をひもとくと、貞観大噴火直後の貞観6年 (864年)、天台宗鳴沢坊が創建されているので(現・成沢山通玄寺)、そこに祀られた権現(神仏習合の神)に関係している可能性もあります。

謎の地名の「ジラゴンノ」、その由来も謎なのです。

「じらごんの富士の館」
「じらごんの富士の館」
富士山麓・青木ヶ原樹海一帯の地名は、謎の「ジラゴンノ」
所在地 山梨県南都留郡鳴沢村ジラゴンノ
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青木ヶ原樹海

青木ヶ原樹海

富士北麓、山梨県富士河口湖町、鳴沢村に広がる広大な針葉樹の樹海が青木ヶ原樹海。平安時代初期の貞観6年(864年)〜貞観8年(866年)、富士山の貞観大噴火(じょうがんだいふんか)で、長尾山の大噴火(割れ目噴火)による溶岩流の岩海が、時を経て

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