「ゴジラの足跡」がある観音崎、ゴジラの上陸地点というのは都市伝説だった!

たたら浜・ゴジラの足跡

神奈川県立観音崎公園の一角、「観音崎自然博物館」のあるたたら浜に、「ゴジラの足跡」モニュメントがあります。「初代ゴジラが上陸した地」などと喧伝(けんでん)され、そう紹介するサイトもありますが、実は東宝が昭和29年11月3日に公開した特撮怪獣映画『ゴジラ』では東京・芝浦が上陸地点となっています。

ゴジラは実際には第二台場から品川に上陸

『ゴジラ』の第1作は、なんと東京タワーが竣工する以前の公開で、「第五福竜丸」が被爆したビキニ環礁の水素爆弾実験に着想を得て製作された特撮怪獣映画。
深海で眠っていた恐竜が水爆実験によって目覚め、巨大怪獣となって東京に上陸し、破壊を繰り広げる「水爆大怪獣映画」です。

映画の冒頭で、東京湾周遊中の東海汽船の納涼船「橘丸」(たちばなまる/1772t、昭和10年就航で、「東京湾の女王」と称された貨客船、戦後は伊豆大島との往復の他に納涼船として活躍)の甲板でダンスに興じていた人々が目の前の海面に姿を現したゴジラを目撃し、パニックに陥るというシーンがあります。
その直後に、「観音崎北東15マイルの海中に、北西に向け移動のゴジラを発見す!」という緊張感あふれる発表が流れますが、マイルとは海里のことで、15マイルは、15×1.852kmで、27.78kmとなるため、実際には観音崎北東28kmほどの場所での発見ということになります。

これを正しく計測するとちょうど東京湾アクアラインの「海ほたる」PAの東京港側となり、東海汽船の納涼船「橘丸」のデッキから眺めるという話にも一致する内容となります。

このゴジラ、映画では、夜間に第二台場(航路拡張で撤去)付近に現れ、現在のレインボーブリッジの南西に位置する品川埠頭から品川へと上陸、品川駅構内へ侵入し、さらに京急本線八ツ山橋跨線橋を破壊して東京湾に去っていくので、観音崎はとくに関係していないので、まさに「観音崎上陸」というのは都市伝説ということに。

品川は江戸時代、江戸湾防備の拠点で、ここから隅田川河口にかけては水深も浅く、江戸の町の防御ラインとなっていたため、幕末に台場(砲台)群が築かれたのです。
ひょっとすると、こうしたことを前提に、ゴジラの品川上陸というストーリーが生まれたのかもしれません。

実際には沖合を素通りしてしまった観音崎にはかつて「ゴジラ上陸地点」で観光客を呼ぼうとした時期があり、たたら浜にも昭和33年に初代「ゴジラの滑り台」(ゴジラ像と尻尾部分が滑り台)が設置されていました。
海風による老朽化で昭和48年に取り壊されましたが、初代ゴジラの1/10縮尺の足跡が残されています。
横須賀商工会議所青年部が「横須賀のランドマーク創造」という目的で、東宝から著作権、ライセンス料を値引きしてもらって平成11年、「くりはま花の国」に2代目となる全長10mのゴジラ像とゴジラのすべり台が設置されています(尻尾部分が滑り台に)。

この2代目となるゴジラのすべり台の設置もあって、観音崎=初代ゴジラの上陸地という都市伝説は、まことしやかに今も流布されているのです。

観音崎・たたら浜のゴジラの足跡
「ゴジラの足跡」がある観音崎、ゴジラの上陸地点というのは都市伝説だった!
所在地 神奈川県横須賀市鴨居1-1120
場所 たたら浜・ゴジラの足跡
電車・バスで JR横須賀駅から京浜急行バス観音崎行きで行きで35分、終点下車
ドライブで 横浜横須賀道路馬堀海岸ICから約3.5km
駐車場 観音崎公園県営駐車場(312台/1月1日〜3日、GW、7月〜8月、土・日曜、祝日は有料、その他の期間は無料)
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
たたら浜・ゴジラの足跡

たたら浜・ゴジラの足跡

神奈川県横須賀市鴨居4丁目、神奈川県立観音崎公園の南端、観音崎自然博物館の横、たたら浜にあるのが、ゴジラの足跡。初代ゴジラの1/10縮尺の足跡が浜に築かれ、最寄り駅の京浜急行線・浦賀駅の接近メロディも映画『ゴジラ』のメインテーマ(伊福部昭作

 

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