神奈川県箱根町、箱根登山鉄道小涌谷駅近くの共同墓地に閻魔大王の石像があることは地元箱根でもほとんど知られていません。小涌谷は現在の大涌谷のように激しい噴煙を上げ温泉が湧き出る谷で、大涌谷が大地獄と呼ばれるのに対し小地獄と呼ばれ、地獄で裁きを決める閻魔大王が祀られていたのです。
小涌谷が小地獄と呼ばれた時代の名残
熱湯を噴き上げる小地獄は、温泉が熱すぎるということで、利用が見送られていましたが、明治16年の箱根大火後に、三河屋旅館を創業した榎本猪三郎(えのもといのさぶろう)・恭三父子が、水を引いて温泉の造成に成功して、小涌谷の温泉利用が始まったのです。
当時、多数の泥湯(坊主地獄)があり、大地獄(現在の大涌谷)に対して、小地獄と呼ばれていたのです。
小地獄、大地獄が、小涌谷、大涌谷になったのは、明治6年、明治天皇・皇后の行幸に際して地獄とい う名称は縁起が悪いということ改称されたため(行政的には仙石原村字大地獄から仙石原村大涌谷、底倉村字小地獄から底倉村字小涌谷に変更)。
当時、小地獄の脇には地蔵菩薩と閻魔大王が祀られていましたが、火山活動が収まった現在は「地獄の閻魔大王」が40体もの石仏群に囲まれ不思議な雰囲気を醸し出しています。
共同墓地の片隅に眠る閻魔大王像ですが、小涌谷の歴史を今に伝えています。
名称 | 閻魔大王像(小涌谷)/えんまだいおうぞう(こわくだに) |
所在地 | 神奈川県足柄下郡箱根町小涌谷 |
電車・バスで | 箱根登山鉄道小涌谷駅から徒歩5分 |
駐車場 | なし |
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