うみかぜ公園・第三海堡大型兵舎

うみかぜ公園・第三海堡大型兵舎

神奈川県横須賀市平成町の海岸にあり、猿島、浦賀水道を航行する船を眼前にする公園が、うみかぜ公園。公園内に移設された第三海堡大型兵舎(だいさんかいほおおがたへいしゃ)は、かつて東京湾要塞のひとつだった第三海堡にあった大型の兵舎。

平成19年に消滅した第三海堡から大型兵舎を移設

うみかぜ公園・第三海堡大型兵舎

東京湾の入口、富津岬沖から観音崎にかけて築かれた3ヶ所の人工島(砲台)が、第一海堡、第二海堡、第三海堡のひとつ。
明治に入り、富国強兵の最中、東京湾防備の要塞として真っ先に建造されたのが第一海堡です(当初、来襲を想定したのはロシアではなく清国の北洋水師)。
明治11年7月30日、陸軍参謀局内に海岸防御取調委員が設置され、その委員となった工兵大尉・西田明則(にしだあきのり)は、「東京湾要塞建設論」を山縣有朋宛に提出しています。東京湾口の防備には、大砲の射程の関係上、富津岬~横須賀の海中に3個の海堡(海上砲台)を築造することを提案しています(当時の大砲の射程距離では陸からの砲撃では航行する艦船に届きませんでした)。
こうして、第一海堡は明治14年8月起工、明治23年12月に完成したのです。

横須賀寄りの第三海堡は、もっとも深い海で、潮流も激しかったことから、明治25年から大正10年まで30年もの歳月を要して構築。
ようやく完成にこぎつけたものの、竣工後わずか2年で、関東大震災で倒壊、大砲の射程距離が伸びたこともあって大正14年に除籍となっています。

その後、年々沈降が進行し、暗礁化し、東京湾を航行する船舶の大きな障害となっていたため、平成12年〜平成19年に国土交通省が撤去作業を実施。
上部構造物のうち、特徴的なもの、学術的に貴重なものが横須賀市夏島町・夏島都市緑地に、大型兵舎、探照灯、観測所、砲台砲測庫などが第三海堡遺構展示場として移設され、その後、大型兵舎のみ、うみかぜ公園に再移設されています。

第三海堡に構築された建造物は、年代が下って建設されたせいでコンクリート造りが中心。
大型兵舎もコンクリート造りで、2つの居室、左右の要撃砲台間を行き来するための連絡通路が設置されていました。
居室部分の天井は半円形のアーチ状で、入口壁面にはイギリス積のレンガが積まれていました。

画像協力/横須賀市

うみかぜ公園・第三海堡大型兵舎
クレーンで吊って陸上へと運搬
うみかぜ公園・第三海堡大型兵舎
名称 うみかぜ公園・第三海堡大型兵舎/うみかぜこうえん・だいさんかいほおおがたへいしゃ
所在地 神奈川県横須賀市平成町3-23
関連HP うみかぜ公園公式ホームページ
電車・バスで 京急県立大学駅から徒歩15分
ドライブで 横浜横須賀道路横須賀ICから約5.5km
駐車場 うみかぜ公園駐車場(182台/有料)
問い合わせ うみかぜ公園 TEL:046-826-2899/FAX:046-826-2897
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
うみかぜ公園

うみかぜ公園

神奈川県横須賀市平成町の海岸にあり、浦賀水道を航行する船を眼前にする公園が、うみかぜ公園。猿島を眼前にする公園で、親水護岸で生物の観察、芝生広場ではバーベキューも可能です。園内には東京湾要塞・第三海堡にあった大型兵舎も移築され、柵越しに外観

東京湾第一海堡と富士山

東京湾要塞化は「第一海堡」から始まった!

明治20年代に山縣有朋(やまがたありとも)らによる本土要塞化の一環で、東京湾の要塞化が図られました。最初に築かれたのが、富津岬の根元の砲台(富津元洲堡塁砲台)と、富津岬沖(約1kmほど沖)の第一海堡(だいいちかいほ/だいいちかいほう)です。

第一海堡

第一海堡

千葉県富津市富津、富津岬の沖合の浅瀬に築かれているのが第一海堡。東京湾要塞の一部として、富津岬側から第一海堡、第二海堡、第三海堡と3ヶ所築かれた海上砲台のひとつで、明治14年8月起工、明治23年12月完成と、最初に築かれたのが第一海堡です。

第二海堡

第二海堡

千葉県富津市富津、富津岬の沖合、東京湾の中央にあるのが第二海堡。東京湾要塞の一部として、富津岬側から第一海堡、第二海堡、第三海堡と3ヶ所築かれた海上砲台のひとつ。第二海堡は、明治22年に起工し、難工事の末、大正3年に完成。大正12年の関東大

貝山緑地

貝山緑地

神奈川県横須賀市浦郷町5丁目、追浜浄化センターに隣接する緑地公園が、貝山緑地。緑地の地下には、追浜にあった海軍施設の避難・防衛のためにつくられた貝山地下壕(ガイド付きで公開)があります。園内には1000本ものアンズが植栽され、3月下旬に見頃

 

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