日本最長の国道は日本橋(東京都中央区)と青い森公園前(青森県青森市)を結ぶ国道4号で、距離はなんと739.0kmにも及びます。対する日本最短の国道は、兵庫県神戸市の国道174号。なんと距離は187.1m(0.1871km)。比率でいえば、3950分の1という短さです。なぜ、同じ国道でこんなに差があるのでしょうか?
話は開国の歴史にまで遡ります
国道が定められたのは明治9年の太政官布告が最初。
このとき全国各地の道は国道、県道、里道に分けられ、さらにそれぞれ一等、二等、三等に分けられました。すべての国道は東京の日本橋が起点となりましたが、これは江戸時代の「五街道」(東海道・中山道・奥州街道・甲州街道・日光街道)の名残で、最も重要な道路である一等国道には、東京と各開港場を結ぶ幹線道路が設定されました。
つまり、「東京ヨリ横濱ニ達スル路線」が壹號、「大坂港ニ達スル路線」が貳號、「神戸港ニ達スル路線」が三號、「長崎港ニ達スル路線」が四號、「新潟港ニ達スル路線」が五號、「函館港ニ達スル路線」が六號(最長国道でもある現在の国道4号)、「神戸港ニ達スル別路線」(旧中山道ルート)が七號という具合です。
一等国道が各開港場を結ぶ幹線であったのに対し、二等国道は、東京から伊勢神宮や各府(京都・大阪など)と各地の鎮台(東京・大阪・名古屋など、地方を守るために駐在する軍隊)を結ぶ道、三等国道には、東京から各県庁所在地に通じる道が選定されました。
現在は道路法によって国道の条件が規定され、「主要都市、高速道路、主要港(空港)の三点をつなぐ道路」というのがその条件となっています。
さてさて、「神戸港ニ達スル路線」が三號ですが、「大坂港ニ達スル路線」が貳號なので東京〜大坂港までは貳號、「長崎港ニ達スル路線」が四號なので、かなりの部分が重複国道で、実質的には四號から分かれて神戸港に向かう部分のみが三號単独ということになります。
こうした歴史を登場して誕生したのが、国道2号(大阪府大阪市北区から福岡県北九州市門司区に至る一般国道)ですが、その交点である税関前交差点から神戸港(神戸税関本関)までを結ぶ部分が、現在の国道174号です。
つまり、国道174号は、兵庫開港から主要港となった神戸港(神戸税関)を結ぶ道として誕生し、国道2号が開通した後もその機能を有す道として、短いながらも立派に国道として残されているわけです。
実際に歩いてみると、200m足らずなので、実にあっけなく終わってしまいます。
物足りないので、国道の端にあった神戸税関本関の広報展示室に寄り道したところ、密輸の手口やコピー商品などの解説もあって結構楽しめまますが、この神戸税関本関こそが、明治9年の太政官布告で定められた「神戸港」ということになります。
港を結ぶ短い国道がほかにも!
実は日本で二番目に短い国道130号も東京港(日の出桟橋)と国道15号芝4交差点を結ぶ道ですし、三番目の国道198号も門司港にある「港国道」です。
もう、おわかりですね、距離の短い一般国道の上位十傑はすべて「港国道」というわけです。
その代表が国道174号ということがおわかりいただけるでしょう。
ちなみに、国道4号が最長国道と記しましたが、フェリーの走る「海上国道」を含めれば、鹿児島から種子島、奄美大島経由で那覇までをつなぐ国道58号が最長で、全長は857.6kmにもなるのです。
日本一短い国道、その短さの理由は? | |
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