鉄道開業時、新橋〜横浜を走った「1号機関車」が現存！

明治5年、日本で最初の鉄道開業に際してイギリスから輸入された蒸気機関車（1両のみ輸入）が1号機関車。明治4年にバルカン・ファウンドリー社（Vulcan Foundry Co., Ltd.）で製造されたB型タンク機関車で、新橋〜横浜の開業運転の主役を担いました。現在は、埼玉県さいたま市の「鉄道博物館」に保存展示されています。

鉄道開業時の錦絵に描かれた機関車は「1号機関車」

1号機関車の名は、イギリス出国の際の検査で最初に合格し、船積みされたときの付番が「1号」だっことに由来します。
新橋〜横浜の鉄道開業時に、客車を牽引、3代歌川広重の『東京横浜蒸気車鉄道之図』、『横浜海岸鉄道蒸気車図』、『東京八ッ山下海岸蒸気車之図』、『東京高輪海岸蒸気車之図』など当時の錦絵に描かれたのは、この1号機関車です。

明治7年、大阪〜 神戸の官設鉄道開通を受け、明治13年に神戸に転属し、大幅な改造が行なわれ、東海道本線敷設のために建設された武豊線（たけとよせん＝愛知県／武豊港〜熱田）で活躍、横須賀線、大阪駅構内で使われた後、明治44年、島原鉄道（長崎県）本諫早〜愛野村の開業を受けて鉄道院から島原鉄道に譲渡されています。

明治42年鉄道院の車両称号規程で鉄道院150形という名称に改定されていますが（鉄道院時代の形式・番号は「A1-150」）、島原鉄道では周知の呼称を活かし「1号機関車」として活躍。

昭和5年に鉄道省への返還、機関車の保存へ向けての話が進み東京に送り返されることが決まった際、島原鉄道初代社長・植木元太郎（うえきもとたろう）は別れを惜しみ、「惜別感無量」と記したプレートを車体左側タンク部分に取り付け、島原駅で壮大な送別会を催しています。
「送国宝一号機関車」と墨書された旗を付けた機関車は、関門海峡を渡り、神戸、大阪、名古屋を経て東京へと運ばれました。

「惜別感無量」の銘板は、大宮の鉄道博物館に展示してある機体にそのまま掲げられています。

昭和33年に鉄道記念物、平成9年には「一号機関車」という通称名で国の重要文化財に指定。
昭和34年には1号機関車をモチーフにした絵本『きかんしゃやえもん』（文・阿川弘之、 絵・岡部冬彦、岩波書店）が出版され、今も購入が可能です。

鉄道博物館

埼玉県さいたま市大宮区、ニューシャトル鉄道博物館駅近くに建つのが、「てっぱく」の愛称で呼ばれる鉄道博物館。東日本鉄道文化財団が設立した鉄道のミュージアム。全体の約半分のスペースを占める「車両ステーション」では明治時代初期から現代まで鉄道技術

「通勤電車の原型」のナデ6110形式は、国の重要文化財

埼玉県さいたま市にある「鉄道博物館」に静態保存されるナデ6110形式6141号電車。第一次世界大戦が始まった大正3年、鉄道院新橋工場で製造された車両で、国の重要文化財に指定。都市近郊における鉄道輸送の需要増大に対応して製造された車両で、この