東急車輛製造が1950年代に105両を製造し、東急電鉄で1986年まで、譲渡先の地方鉄道で2016年まで運用されたのが「青ガエル」の愛称がある東急5000系(初代)。航空機などに使われるモノコック構造を転用した超軽量構造、日本で初めて直角カルダン駆動方式を本格採用した電車で、日本機械学会の機械遺産に認定されました。
円弧状車体で軽量化を実現した東急5000系電車

2007年6月に創立110周年を迎えた日本機械学会が、歴史に残る機械技術関連遺産を大切に保存し、文化的遺産として次世代に伝えることを目的に、日本国内の機械技術面で歴史的意義のある「機械遺産」(Mechanical Engineering Heritage)を認定する事業を開始。
2025年度にも6件が新たに認定されていますが、「青ガエル」(東急5000系)もそのうちのひとつで、「円弧状車体で軽量化を実現した東急5000系電車」として認定されたもの。
東急車輛製造(現・総合車両製作所)は、1954年、東急東横線のスピードアップに向けて通勤用の全鋼製高速電車(初代東急5000系)の開発に着手しました。
当時、鋼製車の車体側面は垂直というのが常識でしたが、戦後間もない時代で設計者の中にいた元・航空技術者たちは、断面が直線コンタ(図面上の等しい数値を結ぶ線がコンター線)という不文律を打ち破り、曲線コンタを提案。
電動車を10t以上軽量化したため、「超軽量電車」と称されたのです。
それまではただの箱型だった通勤電車が、「翼のない飛行機」のような形状になったのは大革新で、この航空力学の応用は、小田急3000形ロマンスカー「SE」、新幹線0系などにも利用されています。
小田急3000形ロマンスカーは、狭軌鉄道の世界最高速度記録となる145km/hを樹立、「新幹線のルーツ」、「超高速鉄道のパイオニア」とも称されていますが、鉄道車両としてのさらなるルーツは、この「青ガエル」(東急5000系)ともいえるのです。
総合車両製作所横浜事業所で東急電鉄5000系デハ5015(長野電鉄2500系モハ2510/1997廃車)先頭車両が復原保存されています(この車両が機械遺産に認定)。
渋谷駅前に設置されていたデハ5001号車(車体のみ、カットボディ)は、渋谷駅の再開発のため、ハチ公つながりで秋田県大館市の観光施設「秋田犬の里」へ移転しています。

「青ガエル」(東急5000系)が機械遺産に認定! | |
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