日本一短い地下鉄の路線は名古屋市営地下鉄の上飯田線(営業キロ0.8km)ですが、全線が環状(ループ)なのも名古屋市営地下鉄の名城線が唯一です。東京では都営大江戸線が環状線に似ていますが、放射部と環状部に分かれて環状運転は行なわれず、完全なる環状運転が行なわれる地下鉄は名城線だけです。
「左回り」、「右回り」を使うのは景色の見えない地下鉄だから
名古屋市東区の大曽根(おおぞね)から、ナゴヤドーム前矢田駅、本山(もとやま)、八事(やごと)、新瑞橋(あらたまばし)、熱田神宮西、金山、上前津、栄、名古屋城を通り、再び大曽根に戻るという環状線です。
正式には大曽根〜八事〜金山が4号線(4号名城線)、金山〜名古屋城〜大曽根が2号線(2号名城線)ですが名城線と通称されています。
沿線にはナゴヤドーム、八事、瑞穂競技場、名古屋城、熱田神宮、さらには栄、金山、大須などの繁華街・ターミナルもあるほか、名古屋大学、南山大学、名城大学などキャンパスも多いので、いつも混雑しています(観光での移動にもおすすめです)。
全長は26.4kmで、同じ環状線のJR西日本の大阪環状線(21.7 km)より長く、JR東日本の山手線 (34.5km)より短い距離となっています。
大阪環状線は他線との直通運転があり、環状運転されていない列車もあるので、完全な環状運転される普通鉄道は、日本では山手線とこの名城線だけです。
完全な環状運転のため、運転は「右回り」、「左回り」と呼ばれており、山手線、大阪環状線の「内回り」、「外回り」とは異なる名古屋方式の呼び方。
どうして先行の環状線で使われる「内回り」、「外回り」に合わせなかったかといえば、答えは簡単、地下鉄だったから。
山手線、大阪環状線は景色が見えるので、内外の関係性やなど現在地がわかりやすいのですが、暗闇を走る地下鉄では「右回り」、「左回り」のほうがイメージし易いと考えたから。
ただし、名古屋市のバスの環状路線がすでに「右回り」、「左回り」を採用し、名古屋市民にはその方が馴染みがあったからという事情も。
さらにいえば、右側通行の国からやって来た外国人旅行者にとって「内回り」、「外回り」は、運転方向が逆という感覚を有するため、「右回り(clockwise)」、「左回り (counterclockwise)」の方が外国人にもわかりやすいという利点もあるのです。
ではでは英語に合わせて時計回り(Clockwise)、反時計回り(Counterclockwise)でも良さそうな気もしますが、なんとなくゴロが悪いということで、避けたのだと推測できます。
オリジナルの列車接近メロディも左回りが「ランディング」、右回りが「サークルポイント」と異なる曲を使っているので、名城線に乗る機会があったならぜひ確認を。
環状線の完成は、平成16年10月6日の4号線新瑞橋駅〜名古屋大学駅間(5.6 km)の開業なので、令和6年10月6日で環状運転20年ということに。
地下鉄で唯一、完全に一周する環状線は名古屋市に! | |
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