宮城・山形県境にそびえる蔵王連峰(蔵王山)の最高点は山形市側の熊野岳(1841m)ですが、宮城県蔵王町側の最高峰が標高1757.8mの刈田岳(かっただけ)。山頂には刈田嶺神社が鎮座し、蔵王のシンボル御釜を眼下にする地ですが、奈良時代に吉野山から蔵王権現を勧請した頂は、この刈田岳だと推測されています。
駐車場から徒歩10分のお手軽登山
奈良時代(天武天皇の治世)に、修験道の開祖・役小角(えんのおづぬ=役行者)の叔父・願行(がんぎょう)が、大和国吉野の金峯山から蔵王権現を勧請したのが修験の地としての始まりと伝えられています。
刈田岳山頂の刈田嶺神社の社伝では、白鳳8年(679年)、役小角が大和国の吉野山から蔵王権現を不忘山(ふぼうざん)に奉還したのが始まりと伝えています。
この不忘山が現在の刈田岳で、蔵王権現を祀り、修験の地となったことが蔵王山という山名の由来。
つまり、霊峰・蔵王山のルーツともいえるのがこの刈田岳なのです。
宝亀4年(773年)、寿永2年(1183年)や江戸時代以降の噴火や火山活動もこの刈田岳・御釜周辺の火山活動なので、荒涼たる火山地形に、人智の及ばぬ世界を見出し、火山を鎮めるという目的もあって蔵王権現を勧請したのかもしれません。
修験道の本尊・蔵王権現の正式名は、金剛蔵王権現で、吉野山・金峯山寺の蔵王堂に祀られています。
神仏習合の神で、明治の神仏分離までは蔵王大権現社として、蔵王参詣(御山詣り)の登拝者が列をなして登山したほどです。
江戸時代に庶民の間で流行した蔵王参詣(御山詣り)は、山麓・蔵王山参詣表口の金峯山蔵王寺嶽之坊(だけのぼう)などに泊まり、刈田岳を目指したのです。
この蔵王参詣(御山詣り)は、蔵王エコーライン・蔵王ハイライン開通によって廃れましたが、開通以前は多くの登山者で賑わったのです。
蔵王エコーライン開通後は、蔵王ハイライン・蔵王刈田駐車場から徒歩5分で御釜展望所、さらに5分で刈田岳山頂・刈田嶺神社という手軽さで到達できます。
刈田岳から先、馬の背をへて熊野岳方面への縦走は、天候の急変に注意が必要。
蔵王ロープウェイの地蔵山頂駅まで、コマクサなどの高山植物を観察しながらの中央蔵王の稜線上を歩く登山コースは徒歩2時間。
6月まで残雪で登山道が消えている場合があるので、夏山登山の晴天時に歩くのがおすすめです。
ちなみに深田久弥の『日本百名山』では蔵王山として、一座に加えています。
名称 | 蔵王・刈田岳/ざおう・かっただけ |
所在地 | 宮城県刈田郡蔵王町遠刈田温泉 |
関連HP | 蔵王町観光物産協会公式ホームページ |
電車・バスで | JR白石蔵王駅から宮城交通バス蔵王刈田山頂行きで1時間39分、終点下車 |
ドライブで | 東北自動車道白石ICから約35.7kmで刈田峠 |
駐車場 | 300台(刈田山頂駐車場)/無料 |
問い合わせ | 蔵王町観光案内所TEL:0224-34-2725 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
最新情報をお届けします
Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!
Follow @tabi_mag