山と丘の違いはあるのでしょうか? 地形図などを制作する国土地理院によれば、「定義はしていません」ということで、もともとの地名をそのまま地図に表記しているとのこと。山よりは低くかつ傾斜のゆるやかな地形が丘だとしても、山名の付いた場所もあると解説しています。
西日本に山本さんが多いのは、関西人は丘を山とイメージ?
山の麓の集落は、山本(山元)、丘(岡)の麓は岡本(岡元、丘本、岳元)ですが、そうした地形から地名が生まれ、そこに暮らす人が地名を名乗って苗字が生まれます。
山本さんは全国第9位の大姓で、103万人を数えるお仲間がいますが(高知県、和歌山県、山口県、岡山県、愛媛県、石川県、奈良県、広島県、香川県、富山県ではTOPです)、岡本さんは、大姓51位で全国に29万人ほどと、かなり差があります(2018年7月、明治安田生命全国同姓調査による推計値)。
地形姓だけから考えると、国内にはゆるやかな丘をイメージする土地よりも、急峻な山の方が4倍近くあるという結果になります。
丘と山を区別する「定義はしていません」という国土地理院ですが、国土地理院が1990年に発行している『新版日本国勢地図』」には【自然地域の種類と定義】が記載されています。
【自然地域の種類と定義】
- 山地:地殻の突起部の集合体をいう
- 山脈:特に著しい脈状の山地をいう
- 高地:起伏がそれほど大きくなく、谷がよく発達した、全体として表面の平坦な山地をいう
- 高原:起伏が小さく、谷が発達しない、表面の平坦な山地をいう
- 丘陵:谷がよく発達し、頂部が丸みをおび、原則として稜線が定高性を示す山地で、低地との比高は約300m以下である
- 平野:起伏がほとんどなく、平坦な低地の広がる土地をいう
- 盆地:周囲を山地または丘陵によって囲まれた平坦な土地をいう
- 台地:平野と盆地のうち、一段と高い台状の土地をいう
- 半島:三方を海で囲まれ、一方が陸続きの土地をいう
- 諸島:二つ以上の島の集団をいう、そのうち列状をなすものをとくに列島という
この【自然地域の種類と定義】を見る限りでは、比高300m以下で、谷がよく発達し、頂部が丸みをおび、原則として稜線が定高性を示す山地が「丘陵」と定義されています。
つまり、浸食が進んで谷が発達し、上部も比較的に平坦な場所、それでいて平地と比べて300mもない高さが丘ということに。
実際にはこの定義に当てはまっても、平野部から見上げれば「山」なので、山名がついている場合が大半。
その結果「山本さんVS岡本さん」は、山本さんの圧勝ということに。
山下さんは多くいて(全国29位の大姓)、岡下さん(5000位以下)は少ない、山中さんや中山さんは多いのに、岡中さんや中岡さんは意外に少ないという結果を生んでいるのだと推測できます。
西日本では、山本さん(2位/全国では9位)、山田さん(9位/全国12位)、山口さん(10位/全国14位)、九州・沖縄では山下さん(8位/全国29位)などが多いのは、平野の周りの丘も「山」と認識されているからかもしれません。
面白いのは、岡山県と岡山市の名の由来。
岡山県の県名、岡山市の市の名は岡山城が由来で、石山城を居城としていた宇喜多秀家が新城を築くに際して岡山という丘を選んだことがきっかけです。
丘のような山ということでしょうが、地形的には明らかな丘。
やはり、山と丘には区別がないようです。
山と丘の違い、定義はある!? | |
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