名古屋のローカル和菓子というと「ういろ」(「ういろう」)が有名ですが、実は「ういろう」は、京都、小田原、山口、三重などにもあります。名古屋でしか味わえないという超ローカルな和菓子は、鬼まん(鬼まんじゅう)、ないろ、そして月見団子(里芋型)で、これが超ローカル「三大和菓子」ということに。
鬼まん
全国のスーパーで見かける蒸しパンスタイルとは異なります!
さつま芋の角切りを薄力粉(白玉粉をブレンドする場合もある)と砂糖(伝統的なものは黒砂糖)で作った生地に散りばめられた、モチモチとした食感のまんじゅう。
「芋ういろう」と称されるのは、ういろうの生地の中にさつま芋が入っているから。
さつま芋の角切りが見える様子がゴツゴツして鬼の角や鬼の金棒を連想させるのがその名の由来といわれています。
『鬼まんじゅう』、似て非なるものは、関東エリアのスーパーなどでも目にしますが、基本的にはまったくの別物。
よくスーパーで売られているのはパン生地にさつま芋という組み合わせで、形状のみが鬼まん風ということに。
ないろ
大須ういろが販売する70年の歴史を誇るローカル和菓子の定番
名古屋人なら誰もが知っている「ないろ」。
中京圏で流れる「ぼんぼんぼ〜んと時計が三つ」の歌いだしで始まる大須ういろのCMソングでも締めは「大須ういろとないろです〜」ということに。
名古屋のおもなういろうメーカーは、老舗で、尾張徳川家献上という歴史を誇る餅文総本店、そして大手メーカーの青柳ういろう、大須ういろの3社。
このうち、餅文総本店と大須ういろは「ういろう」ではなく、「ういろ」(名古屋ういろ)としているのです。
昭和22年創業という大須ういろが昭和32年に発売したオリジナルの商品が、「ないろ」。
ういろの生地に小豆のこしあんを練り込んで蒸し上げたのが「ないろ」。
ういろと羊羹の中間的な存在といえるかもしれません。
ういろと少し異なるのは、ないろの原料は、米粉のほかに小麦でんぷん(小麦の胚乳部分から抽出される炭水化物)を含んでいると、原料も微妙に異なります。
それによってういろの「もっちり」に対し、ないろは「しっとり」という食感を生み出しているのです。
70年近い歴史ある和菓子ですが、名古屋人以外、あまり知られることのない、名古屋の定番銘菓ということに。
月見団子
芋名月だから里芋型という古式スタイルを守る
お月見に使う月見団子は全国どこにもありますが、名古屋周辺では、これも大きく異なります。
最大の違いはその形。
『秘密のケンミンSHOW』(読売テレビ)でも紹介され、話題になった名古屋の月見団子は、里芋型(しずく型)。
満月を模した関東風の団子に対して、名古屋の三色団子は、里芋の形をしているのです。
実は、中秋の名月は、ちょうど里芋の収穫期と重なるため、別名が「芋名月」。
収穫したての里芋を供えるという風習があったのが、調理済みの「きぬかづき」(里芋を皮付きのまま蒸すか茹でて、一部だけ皮を剥いたもの)に、さらには米粉を使った団子に代わっていったのです。
関西では里芋風の月見団子が京都、大阪、滋賀などでは見かけることもありましたが、徐々に衰退。
関西の食文化の影響を受けた名古屋では、こうした里芋型月見団子が今も残されているのです(ただし名古屋でもスーパーなどでは満月を模した関東風が並び、絶滅危惧種になっています)。
関西の里芋型と名古屋の里芋型の大きな違いは、関西では団子に餡(あん)を帯状に巻き付けるのに対し、名古屋では餡を使わない点。
味も食感も「里芋型のういろう」、「ちまきの皮を取ったもの」といった感じです。
お月見に団子が添えられるようになったのは江戸時代からですが、ういろと同時期に里芋型月見団子が生まれたのかもしれません。
ちなみに、岐阜県や静岡県では里芋型ではなく、三重県でも名古屋に近い一部だけが里芋型なので、まさに名古屋ローカルといえるでしょう。

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