民間団体「日本創成会議」が市町村別に将来の若年女性(20~30歳代)の人口減少率を2014年に分析、さらに2024年4月に再検証した結果、ともに「消滅可能性自治体」として全国ワースト1位となったが、群馬県甘楽郡南牧村(なんもくむら)。2024年1月1日現在の人口は、1504人です。
この70年で人口はなんと9割も減少
長野県にも南牧村と書いて「みなみまきむら」と読ませる村がありますが、南牧村(なんもくむら)は群馬県。
離島を除いて関東(1都6県)でもっとも人口が少なく、過疎に悩むのは群馬県多野郡上野村(うえのむら)で人口はわずかに1039人(2024年1月1日現在)ですが、人口の減少率は、南牧村が上回っています。
2024年1月と2023年1月の比較では、南牧村の人口は1039人でマイナス36人、群馬県南牧村が1504人でマイナス74人と、2村だけの比較でも倍以上のペースで人口減が進んでいます。
南牧村の世帯数は2020年4月は858世帯(人口1631人)でしたが、2021年3月には792世帯(人口1582人)とわずか1年で世帯数も66世帯減っているのです。
南牧村は、65歳以上が人口に占める「高齢化率」が7割弱もあり、「日本で最も高齢化が進む村」でもあり、「消滅可能性自治体」とされているのです。
男女比で女性の人口のほうが70人ほど多いのは「女性の方が寿命が長いから」とのこと。
地域の有力な雇用創出先が老人ホームで、そこに働く人がUターン組という状況が生まれています。
人口も1955年までは1万人を超えていましたが、この70年でなんと9割減という大下降をたどっています。
村もUターン、Iターンに力を入れ、地域おこし協力隊員が村に定住、「村の喫茶店もくもく」を開店するなど明るい話題もありますが、人口減に歯止めをかけるには至っていません。
かつて人口が1万人を超えた時代には、林業、そして山の斜面を活かしてのこんにゃく栽培が高収益をもたらし、村に活気を呼んだのです(その後、機械化が進み、こんにゃく芋の価格が下落)。
南牧村の総面積は1万1883haで、そのうち森林面積は1万855ha。
つまり91%を占めるのが森林で、農業振興、新産業創出なども簡単ではないのです。
地元の話では「平成の大合併では合併相手の下仁田町に振られて(反対運動があって)頓挫した」とのことで、単独の自治体として存続しています。
ただし、もし合併したら、学校の統廃合、役場の支所化による職員減、観光PRの脆弱化などでさらに過疎化が進行したと考える研究者も多く、結果は村存続のほうがよかったという可能性も。
村外からの移住世帯が毎年数世帯あることが希望の光ですが、村内にはかつて100人ほどが暮らしていた大入道集落が2017年12月に、最後の居住者が村内の高齢者施設に移ったため、消滅集落になるなど、集落ごと無人化する地区も増えています。
国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2045年に南牧村の人口は、455人まで減少、消滅する集落はますます増えると予測されています。
総務省の調査では全国の限界集落(住民の半数以上が65歳以上で、若者の流出によって社会的共同生活の維持が難しくなった集落)は、2015年度時点で全国に1万5568でしたが、2019年4月には2万372に増加。
4年間で住民がゼロになって消滅した集落が全国で164を数えているのです。
南牧村の道の駅「オアシスなんもく」を訪れると、農林産物直売所では採れたての新鮮野菜、こんにゃく、手作りの惣菜が並んで、村の魅力も伝わってきます
古民家民宿、山囲炉裏を囲んでの食事が楽しい民宿などインバウンドでも注目されそうな宿もあるので、一度旅してみるのもいいかもしれません。
なんもく村自然公園キャンプ場はオートキャンプが可能なほか、コテージも備わっています。
「消滅可能性自治体」ワースト1位の町は関東に! | |
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