沖縄で帰属問題に揺れる美しい小島、岡波岩とは!?

岡波岩

沖縄県沖縄本島、糸満工場団地の沖合1kmに位置する無人島が、岡波岩(おかはいわ/方言ではウカハ)。この無人島を巡って、糸満市と豊見城市の間で、帰属争いが起こっています。2025年9月には、豊見城市議会、糸満市議会ともに帰属を主張する決議を相次いで行ない、まさに境界問題となっているのです。

江戸時代には現・糸満、米軍占領下には現・豊見城

岡波岩
国土地理院の地形図には豊見城市と明記

豊見城市議会は2025年9月26日(金)に豊見城への帰属を主張する決議を全会一致で可決。
これに対して、糸満市議会は9月29日(月)に糸満市が帰属を主張して県に調停を申し出る議案を全会一致で可決しています。

沖合の小さな無人島がなぜ、こんなに帰属を巡っての問題になるのかといえば、糸満市側の海岸線はこれまでも埋め立てが進み、工業団地や人工のビーチ「美々ビーチいとまん」があるのです。
那覇空港に近いこともあって観光客に人気の道の駅「いとまん」も実はこの埋立地にあります。

糸満市は、さらに西崎町沖合に埋め立てを進めて、岡波岩あたりまで糸満市土地開発公社が埋め立て工事を実施しようという計画なのです。
埋め立ての免許もすでに発行し、工事を実施するだけの状況に。

これに異議を唱えたのが北側に隣接する豊見城市。
国土地理院の2万5000分の1地形図を見ると、岡波岩の場所には大きく豊見城市の文字が。
国土地理院は、岡波岩は豊見城市と認めているのです。

なぜ認めているかといえば、「沖縄が復帰する前(注/沖縄県は1972年5月15日に日本へ返還されるまで、終戦後アメリカが統治)の1970年に琉球政府が作成した国土基本図では、岡波岩は豊見城村に帰属しているから、それを踏襲」と明快です。

そうした歴史を背景に豊見城市では当然、「勝手に埋め立て地を伸ばすのはけしからん」ということになるのです。
ただし、薩摩支配の江戸時代には、岡波島は兼城間切(かにぐすくまぎり)だったことで(薩摩藩の地図に明記)、現在の糸満市に帰属した時代もあることに(島内にある御嶽は兼城村の人たちの信仰の対象だったという説も)。

岡波岩には100万年前の物と推定されるクジラの化石があり、2009年には沖縄県と豊見城市、糸満市では共同で調査も行なっています。

岡波岩
帰属問題に揺れる岡波岩
沖縄で帰属問題に揺れる美しい小島、岡波岩とは!?
名称岡波岩/おかはいわ
所在地沖縄県豊見城市・糸満市(帰属係争中)
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