新橋〜横浜に日本で最初の鉄道が開通するのは、明治5年9月12日(1872年10月14日)。当時は主要な港を目指して、あるいは港を起点に鉄道の敷設が始まっています。現存する日本最古の駅舎は、明治15年に開業した滋賀県の長浜駅の駅舎ですが、残念ながら現役ではありません。
現役最古は武豊線・亀崎駅、あるいは土讃線・善通寺駅
長浜駅は琵琶湖の舟運の起点で、中山道鉄道(現・東海道線)、そして敦賀港(金ヶ崎駅)を結ぶ鉄道の起点として開設されています。
大津港〜長浜港は太湖汽船が日本初の鉄道連絡船として運航され、米原〜大津の東海道本線開通まで、この鉄道連絡船が活用されていました。
駅舎は昭和56年8月1日に鉄筋コンクリートの新駅舎が完成し、旧駅舎は旧長浜駅舎鉄道資料館(現・長浜鉄道スクエア)として保存されることに。
山陰では大正13年築で重要文化財になっている旧大社線大社駅が有名ですが、平成2年4月1日に大社線は廃止となっていて、こちらも現役ではありません。
現役で最古の駅舎といわれるのは、武豊線(たけとよせん=愛知県)の亀崎駅(かめざきえき)の明治19年築。
武豊線(たけとよせん)は、大府駅で東海道本線に分かれ、愛知県の知多半島に伸びる支線ですが、実は明治19年3月1日に中山道鉄道(現・東海道線)敷設の資材を運ぶために建設された路線で、武豊駅〜熱田駅に半田線として開業しています。
途中駅ですが、亀崎駅は開通時の木造駅舎が現存するとして、日本最古の現存駅舎と称されています。
ただし、『鉄道局年報』の明治27年度版、明治28年度版には明治28年3月7日に火災にあい、本屋と駅長官舎を再建したと記され、明治29年前後の駅舎である可能性もあるため、「日本最古の現存駅舎」というには疑問符が付きます。
香川県の土讃線・善通寺駅の駅舎は、明治22年築で、国の登録有形文化財。
大正11年の陸軍特別大演習の際に車寄せ部分などを増築していますが、「明治22年3月30日」と記された建物財産標があるので、亀崎駅が火災で焼失しているなら、こちらのほうが古いということに。
ほかにも播但線・香呂駅(建物財産票に「明治27年8月」)などもあります。
かつては明治29年1月25日開業の奈良線・木幡駅(こはたえき)など、全国各地に木造駅舎がありましたが、平成以降、新駅舎の新築で失われるものも増えています。
日本最古の駅舎はどこに!? | |
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