埼玉県加須市北篠崎にある、武蔵野の昔ながらの田園風景を残す125haという広大な一帯が浮野の里(うきやのさと)。一帯には屋敷林、田掘り、クヌギ並木などの田園景観が保全され、国土交通省の「水の郷百選」に選定、埼玉県の「緑のトラスト保全第10号地」になっています。
利根川横の美しい水郷地帯を探勝
明治43年8月の「明治43年の大水害」では、北埼玉郡東村(ひがしむら/現在の加須市)の利根川堤防が決壊し水没、昭和22年9月のカスリン台風による洪水のときも、周囲は水をかぶり、水没しましたが、浮野の一部は浮上し、洪水のときに浮く原野ということから浮野と呼ばれるようになったのだとか。
温暖な縄文時代の縄文海進期に、加須市あたりは奥東京湾の波打ち際にあたり、ノウルシ、トキソウ、カキツバタ、エゾミサハギ、クサレダマなど貴重な湿生植物の繁茂する湿地が残され、「加須の浮野とその植物」は埼玉県の天然記念物に指定。
ノウルシは、トウダイグサ科の多年草で、環境省、埼玉県から絶滅危惧第2類に指定されています。
例年4月上旬〜中旬に、ノウルシが鮮やかな黄色の花を咲かせますが、ノウルシの自生地には立ち入ることができません。
花菖蒲園は、往時の湿地を利用して3000株のハナショウブを植栽したもので、木道から観賞できます。
クヌギ並木、コナラ林は、天明3年(1783年)の浅間山噴火で火山灰が積り、川底が浅くなったため洪水が多発。
洪水防止のため堤防を築いた際に、土手の強化と当時不足がちだった薪炭材の供給源としてクヌギ、コナラを植栽したもの。
花菖蒲園横のクヌギ並木がクヌギ並木遊歩道(うきや橋〜ちりじの橋)となっています(花菖蒲園近くと、ちりじの橋近くにノウルシの自生地)。
耳慣れない「田堀り」は、江戸時代の新田開発の際、低湿地すぎるため、溝を掘ってその土を周囲に堀り上げて新田(堀り上げ田)を開発した名残り(水路のように残されています)。
低湿地の水田地帯では、稲の刈り取り時期まで水田には水があるため、底の浅い田舟を利用し、刈り取った稲を運んでいました。
例年6月第2日曜から1週間、『浮野の里・あやめ祭り』が行なわれ、女船頭さんの田舟遊覧も行なわれています。
車の場合はうきや橋(浮野の里バス停)近くの駐車場に車を入れて散策を。
浮野の里 | |
名称 | 浮野の里/うきやのさと |
所在地 | 埼玉県加須市北篠崎 |
関連HP | 浮野の里公式ホームページ |
電車・バスで | JR加須駅からタクシーで10分 |
ドライブで | 東北自動車道加須ICから約2km |
駐車場 | 15台/無料 |
問い合わせ | 加須市環境政策課 TEL:0480-62-1111/FAX:0480-62-1934 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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