埼玉県秩父市、羊山公園・見晴らしの丘の麓、秩父市役所近くに建つのが、ちちぶ銘仙館。秩父織物、秩父銘仙など、民俗学上貴重な資料を収集、展示する施設で、体験工房では織機を使っての裂織体験・手織り体験、さらにはほぐし捺染体験も可能です。建物自体も国の登録有形文化財です。
昭和5年築の埼玉県繊維工業試験場秩父支場を再生
昭和5年に建造された旧埼玉県繊維工業試験場秩父支場で、本館、ノコギリ屋根の工場棟、工場棟の南に接続する倉庫が国の登録有形文化財。
秩父絹織物同業組合(現・秩父織物商工組合)が秩父地方の繊維産業の向上と振興を図るため、埼玉県秩父工業試験場を誘致し建設したもの。
本館は、大谷石積みの腰壁、連続した縦長の窓を配してフランク・ロイド・ライト(Frank Lloyd Wright)を意識した外観に仕上がっています。
秩父銘仙は、糸に型染めをするため、裏表がないように染色される平織りの織物。
展示ブースには、繭から糸を取る機械を展示する「糸繰室」、ノコギリ屋根の旧工場内には今も現役のイタリー式撚糸機や整経機が並ぶ「整経場」があり、「捺染室」では仮織機や捺染台、力織機が展示され、秩父銘仙の製造工程を学ぶことができます。
アンティーク銘仙やその他秩父の織物業に関する歴史的な資料が展示される「展示資料室」では、秩父の織物業に関する歴史的な資料が並んでいます。
体験ブースは、型彫室・型染め体験室、織体験室、染場・染体験室があり、30分〜1時間という手軽な体験メニューも用意されています。
販売ブースでは、秩父の織元の製品を購入可能。
反物はもちろん、コースターなど手頃なものも販売されています。
かつて秩父市内に織物工場が500軒~600軒もあり、人口の7割が織物産業に携わっていたといい、大正9年4月6日、歌人・若山牧水は秩父の春を見ようと熊谷駅から秩父鉄道に乗り、長瀞の「長生館」に宿泊、4月7日、秩父から妻恋峠を経て名栗へ向かっています。
「秩父町 出はづれくれば 機織の 唄ごゑつづく 古りし家並(やなみ)みに」と町中から機音が聞こえてきた様子を歌に残しています(羊山公園に歌碑が立っています)。
そんな秩父銘仙を製造する「機屋」(はたや)と呼ばれた織物工場、そして捺染加工場も今では秩父市内に数軒とのこと。
秩父銘仙が国の伝統的工芸品に指定されたことを受け、ちちぶ銘仙館の役割もさらに重要になっています。
本町の秩父往還沿いにある秩父ふるさと館は、大正時代〜昭和初期に繁栄した銘仙問屋「柿原商店」の店舗・主屋(昭和5年築)を再生したもので、国の登録有形文化財に指定されています。
ちちぶ銘仙館 | |
名称 | ちちぶ銘仙館/ちちぶめいせんかん |
所在地 | 埼玉県秩父市熊木町28-1 |
関連HP | ちちぶ銘仙館公式ホームページ |
電車・バスで | 西武秩父線西武秩父駅からから徒歩5分 |
ドライブで | 関越自動車道花園ICから約26km |
駐車場 | 21台/無料 |
問い合わせ | ちちぶ銘仙館 TEL:0494-21-2112 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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