滋賀県長浜市木之本町、湖北・木之本の高時川の渓流沿いにある鎌倉時代創建の真言宗の寺が医王寺。本尊の十一面観音像は楠(くすのき)の一木造りで、国の重要文化財に指定。この仏像、 明治20年、医王寺の僧・栄観が長浜の古物商「鍋徳」の店頭に置かれているのを見出したという不思議な由来があります。
本尊の十一面観音像は国の重要文化財
古物商「鍋徳」の店頭に置かれた仏像は、明治初年の廃仏毀釈の荒波で廃寺となった寺の仏像だった可能性もありますが、由来は定かでありません。
「観音の里」といわれる近江長浜は、己高山(こだかみやま)の山中にある鶏足寺(観音寺)を中心に、中世に栄えた己高山仏教文化圏に属した地。
室町時代以降、比叡山の弱体化とともに、村々にあった天台寺院の多くは衰退して無住・廃寺化。
戦乱の焼き討ちにあった際は、村人たちが地中に埋めて隠すなどして貴重な本尊、仏像を守り続けたのです。
中世に廃寺になった天台寺院の仏像が、流転の末に医王寺にたどり着いたとも考えられるのです。
十一面観音像は、平安時代中期の作風で、9世紀後半、あるいは11世紀前半の作ともいわれています。
井上靖の小説『星と祭』(昭和46年5月11日〜昭和47年4月10日まで朝日新聞に連載/長浜市が舞台で湖北で大切に守られてきた十一面観音像を巡る旅が描かれています)に、目を伏せ、唇を小さく結んだ丸顔から、「清純な乙女の姿をモデルにした観音さま」と記されています。
拝観は事前に予約が必要(12月~2月は拝観不可)。
観音コンシェルジュ(長浜観光協会北部事務所内)に連絡し、予約先を紹介してもらう仕組みです。
医王寺 | |
名称 | 医王寺/いおうじ |
所在地 | 滋賀県長浜市木之本町大見677 |
関連HP | 長浜観光協会公式ホームページ |
ドライブで | 北陸自動車道木之本ICから約7.5km |
駐車場 | あり |
問い合わせ | 観音コンシェルジュ(長浜観光協会北部事務所内) TEL:0749-82-5909/FAX:0749-82-5913 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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