中世のバイキング船がルーツという飛行機の左扉(左側のドアから飛行機に搭乗するのはなぜ? 実は、バイキングがルーツ!)。実はそれ以外にも飛行機と船とは共通性がたくさんあります。意外に知られていない飛行機と船の共通性を解説します。
飛行場を空港と呼ぶのにはワケがある!
中世のバイキング船では右舷の後ろに舵があったため、舵を損傷することなく接岸するため、左舷での接岸となり、その歴史が飛行機にも受け継がれています(飛行機も左側はポートサイドと呼んでいます)。
船が発着するのが港(port=ラテン語のPortusに由来)、飛行機の発着するのが空の港、空港(airport)です。
ヘリコプターも左扉で、ヘリポート(heliport)で発着します。
さらに、機長をキャプテン(captain)、乗務員をクルー(crew)と呼ぶこと機長は4本線の階級章(肩章や冬服の袖章/4本線は機長、3本線は副操縦士、2本線は航空機関士です)を付けること、客室をキャビン(cabin)と呼ぶことなど、すべて船の決まり事が飛行機に持ち込まれたものです。
船では、船長は4本線、一等航海士が3本線、二等航海士が2本線、三等航海士が1本線で、機関士も同様に機関長が4本線、一等機関士〜三等機関士が3本〜1本線になっています。
加えていえば、宇宙船をスターシップと呼ぶように、航空業界では飛行機もシップ、機体番号は「シップナンバー」と呼び習わしています。
よく、空港で使用する機材の変更が伝えられますが、これも業界用語ではシップチェンジということに。
船の左舷と右舷に灯す明かり(航海灯)が「みぎみどり」というように右舷が緑灯、左舷が赤灯というのも飛行機に流用され、右羽根先端の緑灯、左羽根の赤灯となっています(国際宇宙ステーションの乗組員がドッキングの際などに目視で確認するため、一部の宇宙船にもこの左・緑、右・赤の灯が利用されています)。
小型船舶の免許を取るときに教わる覚え方に語呂の良い「みぎみどり」がありますが、これも航海灯は右舷が緑であることの学習法。
夜間、前方に見える船(飛行機、宇宙船)の光が緑なら「左から右へ」、赤なら「右から左へ」、両方が見えたなら真正面へと進んでいることが確認できるため、この「みぎみどり」は重要な教えになっているのです。
衝突の危険があるときは、それぞれの船は右側への回避行動をとるように決められており、飛行機の場合は、赤い航空灯を目にした側が回避行動を取ることが決められています。
船と空の距離計算の基本単位もノーチカルマイル(nautical mile/1マイル=1852m)で共通(nautical=航海用の)。
陸のランドマイル(国際マイル/1マイル=1609m)とは異なっています。
船と空の地球上でノーチカルマイルは、実は元々は、地球の緯度1分に該当し、船の時速1ノットは、緯度1分(1ノーチカルマイル)を1時間かけて移動するという意味になり、かなり合理的です。
つまり、北極を通って地球をぐるりと一周する長さ360度×60分=でその2万1600分1の長さが1海里ということに(経度1分は緯度によって変化しますが、緯度1分は地球上のどこでも同じです)。
ちなみにノットは紐(ひも)の結び目を表す言葉で、16世紀に船尾から紐を流し、紐の結び目の数で速度を確認したのが始まりです。
飛行機の速度もこのノーティカルマイルが基本なので、時速000マイル (mph)という表現になりますが、航空会社のマイレージサービス、マイレージプログラム(FFP=Frequent Flyer Program)はこのノーチカルマイルではなく、移動距離ということで、ランドマイル(国際マイル)を採用しています。
意外に多い! 船と飛行機の共通点 | |
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