日本の鉄道で「最北の鉄路」となるのが、JR宗谷本線の最北区間となる天塩中川駅〜稚内駅間。線路への降雪が始まる12月上旬から、雪が降る日には1日1往復、赤いラッセル車を走らせ、線路を除雪しています。国鉄時代から使用されているディーゼル・ラッセル車のDE15で、その勇姿は撮り鉄にも大人気です。
日本で唯一、ラッセル車が定期運行する宗谷本線
![宗谷ラッセル](https://i0.wp.com/tabi-mag.jp/wp-content/uploads/souya-russel02.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
災害級の暴風雪の場合にはラッセル車も運休になりますが、それ以外には例年12月〜3月の降雪時に、1日1往復運転し、特急「宗谷」や普通列車の運行を支えています。
鉄道ファンはこの赤く塗られたDE15を「宗谷ラッセル」の愛称で呼び、全国から多くの撮り鉄が名寄市や美深町の撮影ポイントに集まってきます。
国鉄DE15形ディーゼル機関車は、昭和42年〜昭和56年に85両が製造された国鉄時代の中型液体式除雪用ディーゼル機関車(ラッセル式)。
除雪時には機関車本体の前後に2軸台車を使用したラッセルヘッドを連結し、線路上の雪を跳ね飛ばす仕組みです。
かつては長野県と新潟県の豪雪地帯を結ぶ飯山線にも「赤いラッセル車」(DD16の改造車)が走っていましたが、2009年から青く塗られた新型除雪車「投排雪保守用車」を投入されたことで、写真映えする「赤いラッセル車」は北海道のみとなったのです。
撮り鉄の「赤いラッセル車」への注目度は近年アップしており、2025年2月1日(土)には美深駅〜天塩川温泉駅間で、除雪作業中のラッセル車が、線路に投げ込まれた雪で急停止するトラブルが発生。
運転士が投げ込まれた雪で線路に雪山ができているのを確認して、急停止したものですが、カメラを構えた撮り鉄が数人いて踏み跡も残されていたことから、「心ない鉄道ファンの仕業」が判明したのです。
事件のあった美深町のほかにも中川町の寒別駅〜天塩中川駅間でも雪の投げ入れが確認されていますが、名寄市や美深町は格好の撮影ポイントとして、全国からファンが集まる地。
JR北海道では列車往来危険や鉄道営業法違反の疑いで捜査をするとともに、パトロールを強化するなどの対策を施しています。
ちなみにラッセル車のラッセル(Russel)とは、ラッセル式の除雪車両を開発したアメリカのメーカー名です。
日本では、明治44年、ラッセル&スノープロウ社からユキ1形(単線用・ラッセル車)を購入、北海道で使用したのが最初で、蒸気機関車からディーゼル機関車に代わったのは昭和36年で、DD14形が登場、今もこのディーゼル機関車にラッセルヘッドを連結したものが、北海道各地で活躍しています。
なお、DD15形のラッセル車は17号機が「三笠鉄道記念館」(三笠鉄道村)、37号機が「小樽市総合博物館」に保存されています。
![宗谷ラッセル](https://i0.wp.com/tabi-mag.jp/wp-content/uploads/souya-russel03.jpg?resize=728%2C485&ssl=1)
「最北の鉄路」を守る「赤いラッセル車」が、撮り鉄に大人気! | |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
最新情報をお届けします
Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!
Follow @tabi_mag