日本の鉄道で最も急勾配なのは、大井川鐵道井川線。南アルプスあぷとラインと呼ばれるようにアプト式で90‰(パーミル)という急勾配を克服しています。単純に車輪と線路の組み合わせという粘着式鉄道としては箱根登山電車が登山電車の名にふさわしく、80‰というほかにはない急坂が連続しています。
TOPはアプト式ですが、実は関西には「登山電車」が多数

大井川鐵道井川線(南アルプスあぷとライン)は、もともと大井川水系のダム建設(電源開発)のために敷設された線路ですが、現在は奥大井の観光列車に転身。
アプト式とは、カール・ロマン・アプトさんが発明した、急勾配を上るための鉄道システム(ラック式鉄道)の一種で、スイスとアメリカで実用化、日本でも信越本線の碓氷峠越え(横川駅〜軽井沢駅)で採用されていました。
アプト式機関車には「ピニオンギア」という坂道専用の歯車が付いていて、線路の真ん中に敷設された「ラックレール」という歯形レールを噛み合わせて坂道を上り下りします。
現在、日本国内では井川線が唯一のアプト式鉄道ですが、長島ダム建設のため、川根市代駅~川根長島駅に置き換え用の新線(アプトいちしろ駅~接岨峡温泉駅)を建設、ダム湖への登坂をアプト式で克服したもの。
平成2年10月2日に誕生した比較的に新しい路線です。
2位の箱根登山電車は、粘着式鉄道としてはTOPの80‰という急勾配が連続。
箱根湯本の駅を出ると、いきなり80‰の山登りが始まります。
3位は少し意外な東京都電(東京さくらトラム)。
飛鳥山の台地上への山登り区間が66.7‰の急登です。
4位、5位には関西の私鉄がズラリと顔を並べ、関西には「登山電車」が多いことがよくわかります。

日本の鉄道 急勾配ランキング TOP5
順位 | 勾配 | 路線 | 区間 | 鉄道会社 |
1位 | 90‰ | 井川線 (南アルプスあぷとライン) | アプトいちしろ駅~長島ダム駅 | 大井川鐡道 |
2位 | 80‰ | 箱根登山電車 (小田急箱根鉄道線) | 全線のうち4.2 kmで急勾配連続 | 小田急箱根 |
3位 | 66.7‰ | 都電荒川線 (軌道線) | 飛鳥山停留場〜王子駅前停留場 | 東京都交通局 |
4位 | 61‰ | 京阪京津線 (軌道線) | 上栄町駅〜大谷駅 | 京阪電気鉄道 |
5位 | 50‰ | 南海高野線 | 高野下駅〜極楽橋駅 | 南海電気鉄道 |
5位 | 50‰ | 粟生線 | 鈴蘭台駅など各所に | 神戸電鉄 |
5位 | 50‰ | 有馬線 | 湊川駅〜有馬温泉駅 (六甲山地越え) | 神戸電鉄 |
5位 | 50‰ | 鞍馬線 | 二軒茶屋駅以北の区間 | 叡山電鉄 |
日本の鉄道 急勾配ランキング TOP5 | |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
最新情報をお届けします
Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!
Follow @tabi_mag