車内で喫煙できる旅客列車は日本でひとつ! その車両の耐用年数が近づく

サンライズ瀬戸・出雲

かつては飛行機の機内でも喫煙が許される時代がありましたが、気がつくと、飛行機はもちろん、日本国内の旅客列車でも唯一の例外を除いて禁煙になっています。その唯一の例外が、夜行寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」(東京~高松、東京~出雲市)。ところが、その車両の耐用年数が近づきつつあるのです。

令和10年、車両耐用年数の30年を迎える

サンライズ瀬戸・出雲
ノビノビ座席は喫煙車両に挟まれている

「サンライズ瀬戸・出雲」はともに7両編成でノビノビ車両を挟んだ両側の車両が喫煙車両。
平成23年3月のダイヤ改正で、最後まで喫煙車があったJR四国が全面禁煙化に踏み切ったことでJR6社の在来線は100%禁煙化したのです。
東海道新幹線の喫煙ルームも令和6年3月16日のダイヤ改正で廃止され、すべての新幹線で喫煙ができなくなりました。

ただし、平成25年に寝台特急「北斗星」、「カシオペア」の食堂車の終日禁煙化となりましたが、寝台特急には喫煙車両が残されたのです。
日本癌学会などがつくる禁煙推進学術ネットワークは、当時、「寝台車を全面禁煙とすること」を強く求めていましたが、今も寝台車の全面禁煙化は行なわれず、愛煙家にとっては「最後の灯火(ともしび)」となっているのです。

「サンライズ瀬戸・出雲」は、まだ喫煙に対しては比較的におおらかで、新幹線にも喫煙車両のあった平成10年7月に運行を開始、その後リニューアルもありますが、令和7年7月で27年という年季の入った車両です。

現在、車両を保有するのはJR西日本、そしてJR東海ですが、耐用年数は「30年程度になるのではないかと考えている」とのことで、令和10年頃がひとつの節目になる見込みです。
「サンライズ瀬戸・出雲」の人気を受けて、新造車両の寝台特急という可能性もありますが、その場合に、禁煙推進学術ネットワークの指摘(当初から「サンライズ瀬戸・出雲」の全面禁煙を提言しています)を踏まえて全面禁煙に踏み切る可能性も。

長距離を長期間走行するクルーズトレインは、JR九州の「ななつ星in九州」やJR西日本「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」は全面禁煙、JR東日本の「TRAIN SUITE 四季島」は5号車ラウンジに喫煙室を設置と同じJRでも対応が分かれています。

クルーズ船の「にっぽん丸」、「飛鳥」などでも喫煙はごく一部の喫煙場所「スモーキングラウンジ」に限定されているのが現状です。

「サンライズ瀬戸・出雲」の終了あるいは、新造で、日本の鉄道が全面禁煙になる日も意外に近いのかもしれません。

東海道新幹線の喫煙ルームも令和6年春に廃止に
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