佐賀県嬉野市塩田町にある国の重要文化財に指定された商家が西岡家住宅。船運で栄えた塩田津で代々石材業を営んでいた豪商の家が西岡家住宅。嬉野市塩田津伝統的建造物群保存地区を代表する建物で、内部も公開されています。
塩田津を代表する豪商の家
長崎街道の塩田宿は古くから交通の要衝で、有明海に注ぐ旧塩田川の水運を利用した川湊としても発達。
川沿いには白壁漆喰の土蔵や座蔵、石垣が残り、一帯が嬉野市塩田津重要伝統的建造物群保存地区となっています。
塩田宿のメインストリート・旧長崎街道に面した通りには、寛政元年(1789年)の大火、文政11年(1828年)の大風以降に普及した「居蔵造」(いぐらづくり=外壁を漆喰で塗り固め防火・耐風機能を高めた建物)の町家が軒を連ねますが、その中心的存在が西岡家住宅。
回船問屋を営んでいた西岡家は、天保15年(1844年)に陶器商鑑札も受けた塩田を代表する豪商で(江戸時代後期、佐賀藩は、尾張藩、紀州藩と同様に有田焼の陶器専売制を敷いていました)、塩田宿の本陣・本應寺参道の石畳も、西岡家(西岡右左衛門)が天保14年(1843年)に寄進したもの。
現存する建物は居蔵造の主屋、座蔵、風呂などがある付属屋からなり、旧長崎街道から裏手を流れる旧塩田川まで達する大店でした。
安政2年(1855年)の築で、旧塩田川に面した裏手の塀には窯業でも栄えた町らしく陶石が用いられています。
明治・大正時代には天草陶石などの販売、昭和50年までは金物商を営んでいましたが、昭和52年から空き家となったため、平成12年から嬉野市が管理し、半解体修理して、創建時の建物に復元しています。
内部の見学も可能で、主屋の2階は船待ちをする人などのために船宿を兼ねていました。
また座蔵1階は倉庫、2階は旧塩田川を眺める座敷で、俳句も詠まれたという風情ある造り。
趣向を凝らした欄間や襖絵、持送りなどに、江戸時代後期を代表する町家の特徴を垣間見ることができます。
隣接する杉光陶器店(すぎみつとうきてん)は、江戸時代末期に建てられた町家で、三の蔵は、明治43年〜大正5年まで、塩田銀行として使用されたもの(レンガ壁はその時の改装)。
主屋、一の蔵、二の蔵、三の蔵が国の登録有形文化財になっています。
西岡家住宅 | |
名称 | 西岡家住宅/にしおかけじゅうたく |
所在地 | 佐賀県嬉野市塩田町馬場下甲725 |
関連HP | 塩田津町並み保存会公式ホームページ |
電車・バスで | JR肥前鹿島駅から祐徳バス武雄行きで11分、塩田下車、徒歩3分 |
ドライブで | 長崎自動車道嬉野ICから約11.7km |
駐車場 | 嬉野市役所塩田庁舎駐車場利用 |
問い合わせ | 塩田津町並み保存会 TEL:0954-66-3550/FAX:0954-66-3550 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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