長崎県松浦市の鷹島、鷹島と九州本島との間にある、日比水道に臨む日比湾の湾口を堰き止めた重力式コンクリートダムが、鷹島ダム(たかしまダム/鷹島海中ダム)。実は平成6年完成のこの鷹島ダムが、「日本初の海中ダム」で、誕生した湖は、鷹島海中ダム湖として、ダム湖百選に選定されています。
玄界灘に面した南北13kmの鷹島に築かれた海中ダム

鷹島は本土に比べて降雨が少なく、河川もわずかということで、長年にわたって日照りや干ばつに苦しめられてきました。
長崎県は、灌漑用のため池の造成を考えますが、陸部にダムの建設地としての適地がなかったため、入江を締め切ってダム湖を誕生させたのです。
これだけだと、ダム湖の水に塩分が含まれ、灌漑に使えませんが、ダム湖内の海水塩分を沈殿させ、流入水をためて内水面を海面より高くして高低差と比重差を利用することで、塩分問題を解決しています。
ダム堤体下部に設けた除塩暗渠から、塩分の沈殿作用が進んだ低層の貯留水を海へ放流、その結果、徐々に淡水化が進むというものです。
重力式コンクリートダムで、日比湾の湾口を締め切って淡水湖化、ダム湖の水を灌漑に用いるという大胆なプロジェクトで誕生した日本初の海中ダムで、淡水化した有効貯水量46万トンの水は、島内ほぼ全域の農地に給水されています。
ダム堰堤の堤高は29.9m、堤頂長129mですが、4分の3は海面下に位置しており、まさに海中ダムといった感じです。
外見的にはダムというよりも巨大防波堤というイメージで、ダム堰堤下には漁船も停泊しています。
現在、鷹島は鷹島肥前大橋で九州本土とつながっているので、気軽に探勝することができます。

「日本初の海中ダム」は長崎県の鷹島に! | |
所在地 | 長崎県松浦市鷹島町 |
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