本州内の本線は、気動車(ディーゼル)特急の走る紀勢本線、山陰本線なども、一部の区間は電化されています。そんななかで、異色の全線非電化の「本線」というのが、岐阜駅〜富山駅の高山本線。特急は、名古屋駅〜富山駅、大阪駅〜高山駅に特急「ひだ」が運転されています。
起工式まで行なった電化計画も実現に至らず!

岐阜駅〜猪谷駅(いのたにえき/富山県富山市)間はJR東海、猪谷駅〜富山駅はJR西日本の管轄で、猪谷駅が境界駅になっています。
国鉄時代、鉄道路線は幹線と地方交通線に分類されていましたが、JRもそれを踏襲、高山本線は本線ながら幹線ではなく、地方交通線の扱い。
こちらも、本州の本線では唯一の地方交通線となっています。
地方交通線だと、通常の営業キロに1割を足した運賃となり、本線なのに割高なきっぷとなっています。
名古屋・中京圏と北陸を結ぶ大動脈ということで、電化計画もあり、観光ブームで輸送量が増加した昭和39年には富山・石川・岐阜・愛知の4県が「高山本線強化促進同盟会」を結成、複線電化を国に要望、昭和55年には国鉄内でも電化計画が決定され、運輸省の認可も降り、5月27日、高山駅構内で起工式が行なわれています。
電化後には中央西線の特急「しなの」に採用の振り子式電車を投入、カーブでのスピードアップを図り、所要時間が短縮されるという計画でした。
その後の国鉄の経営悪化、振り子電車の導入の遅れなどもあり、計画は頓挫。
平成20年、東海北陸自動車道が全線開通、さらに民営化後に新型の気動車特急用キハ85系の導入で、スピードアップ、快適さ向上も実現したことで、すでに沿線自治体でも電化は語られない昔話となっています。
逆に、高速道路網の充実で、名古屋駅〜高山駅は、特急「ひだ」と高速バス「ひだ高山号」(名鉄バス、ジェイアール東海バス、濃飛乗合自動車の共同運行)の熾烈な戦いも勃発。
特急指定席利用の半額近い料金体系で、インバウンド需要にも応え、攻める高速バス、守る特急という構図になっています。
高山本線、のんびりした気動車特急の鉄道旅が楽しめると、「乗り鉄」には人気の路線ですが、高速バスに対しては少し分の悪い戦いになっています。

本州のJR線としては唯一! 全線非電化の「本線」とは!? | |
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